今回は1971年、第二次怪獣ブームに巻き起こった日曜夜7時の視聴率戦争と、その意外な勝利者についてお届けします!
◆「シルバー仮面」(TBS)vs「ミラーマン」(フジテレビ)
1971(昭和46)年11月28日、日曜夜7時のゴールデンタイムに、TBSは「シルバー仮面」をスタートさせます。
https://youtu.be/JIVU5sbNxJY
12月5日、フジテレビは同時刻の裏番組に「ミラーマン」をスタート。
https://youtu.be/3sGo98dCa-M
この2つの特撮ヒーロー番組は「仁義なき視聴率戦争」として因縁がよく語られますが、実はその続きがありました。
この1971(昭和46)年は春から「宇宙猿人ゴリ(スペクトルマン)」「帰ってきたウルトラマン」が放送スタート、後に「第二次怪獣ブーム」と呼ばれる年でした。
「シルバー仮面」は、第一次怪獣ブーム後に経営難となった円谷プロを離脱したスタッフにより設立された日本現代企画が製作。
対する「ミラーマン」は本家円谷プロの製作で、分家対本家の争いとも言えます。
◆暗くて渋い「シルバー仮面」vs明るく派手な「ミラーマン」
一週早くスタートした「シルバー仮面」(主演は柴俊夫さんです)は、当初 巨大化しない等身大ヒーローものとして従来の特撮番組とは一線を画した大人向けの本格的ドラマ路線を目指しますが、暗くて重い画面作りで「ミラーマン」の明るい正統派路線に視聴率で苦戦し、第11話からタイトルも「シルバー仮面ジャイアント」に改める路線変更を強いられます。
この路線変更は一定の成功を収め、視聴率は均衡しますが、今と違いリモコンもなくダイヤル式のチャンネルの時代、一度好みが決まると覆すのは並大抵の事ではなかったでしょうね。
◆視聴率戦争第2ラウンド「ミラーマン」vs「アイアンキング」へ
「シルバー仮面」は予定話数の26話で終了しますが、「ミラーマン」は全51話、続行中です。
TBSは「シルバー仮面」の後番組に「アイアンキング」をスタートさせ、視聴率戦争は「ミラーマン」(フジテレビ)vs「アイアンキング」(TBS)に引き継がれます。
「アイアンキング」は前作「シルバー仮面」の反省から当時、歌手・俳優としてアイドル的人気を誇っていた石橋正次氏と、往年の日活作品で吉永小百合とコンビを組んだ浜田光夫氏を起用し、コミカルさや派手なアクションが志向されますが、根っこにはやはり反体制的な色合いが濃い異色のドラマ作りが模索されます。
放送終了を控えた「ミラーマン」との視聴率戦争は、初回がvs「ミラーマン」で最も高い12.7%を記録、第5話ではついに「ミラーマン」の13.4%に対し16.1%で逆転しました。
◆日曜夜7時 視聴率戦争の意外な結末
フジテレビの「ミラーマン」が1972年、11月26日に終了。その後番組は特撮ヒーローものではなく、あの「マジンガーZ」でした。
https://youtu.be/eR2JlePDgpg
「マジンガーZ」は、第1話から人気が爆発。「アイアンキング」9.9%を大きく上回る16.8%を記録し、第10話以降は20%台をキープする快進撃を見せます。
激しい特撮ヒーロー視聴率戦争を巻き起こした「シルバー仮面」「アイアンキング」「ミラーマン」でしたが、時代の勝利者は意外にも、巨大ロボットアニメの源流である「マジンガーZ」となっていたのです。
◆マニア人気の高い「シルバー仮面」
「シルバー仮面」「アイアンキング」はその後、再放送される機会も少なく、「ミラーマン」に比べるとややマイナーですが、後の評価は決して低くありません。
特に「シルバー仮面」は1980年代以降、再評価の声も多く、2006年にはリメイク劇場版も公開されています。
しかし、当時の子どもたちの心境からすると、同時刻での競合は迷惑以外の何物でもないですよね。
なにせビデオデッキもない時代、リアルタイムで見逃すともう二度と観られない訳で、その上、再放送もされないとそれこそ幻の作品になってしまうワケです。
子ども番組隆盛の時代の弊害とも言えるエピソードだと思います。
毎週日曜日 19:00 – 19:30
◆シルバー仮面
1971年(昭和46年)11月28日〜1972年(昭和47年)5月21日
TBS系
全26話放送
宣弘社/日本現代企画製作
◆アイアンキング
1972年(昭和47年)10月8日〜1973年(昭和48年)4月8日
毎週日曜日19:00 – 19:30
TBS系
全26話放送
宣弘社製作
◆ミラーマン
1971年(昭和46年)12月5日〜1972年(昭和47年)11月26日
フジテレビ系
全51話放送
円谷プロ製作
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