昭和特撮「ジャッカー電撃隊」〜1977 不遇の戦隊シリーズ第2作

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今回は、大ヒットした「秘密戦隊ゴレンジャー」の後番組として放送されたものの、視聴率に苦戦して35話で打ち切りになった「ジャッカー電撃隊」をご紹介します。

 

ゴレンジャーが大人気で「シリーズ最長話数」だったのに対し、本作は「シリーズ最短(全35話)、唯一年越しできなかった」不遇の番組。

 

この「失敗」で戦隊モノは一時、存続の危機を迎えることとなりました。

ジャッカー電撃隊
1977年4月9日〜12月24日
テレビ朝日系列
毎週土曜19:30 – 20:00
全35話
テレビ朝日/東映

 

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●誕生の経緯〜トランプがモチーフのサイボーグ4人組

 

大人気を誇った「秘密戦隊ゴレンジャー」も、さすがに2年間放送するとマンネリ化し、玩具などマーチャンダイジング的にも新番組の制作が求められました。

 

「カラーリングされたグループヒーロー」は継承しつつ、差別化として「トランプ」をモチーフにした「4人組」に。それぞれ、火力/水力/原子力/自然エネルギーで戦うという設定に。

 

「犯罪組織を追う捜査チーム」として、メカ要素に「サイボーグ」設定にした上で、当時大流行の「スーパーカー」も取り入れます。

 

ネーミングは「科学特捜隊ボーグハンター」「電撃戦隊グロスボンガー」などを経て「ジャッカー電撃隊」に決定。

 

これはトランプの「J・A・K・Q」から来ています。

主題歌

 

op「ジャッカー電撃隊」
作詞:石森章太郎 / 作曲・編曲:渡辺宙明
歌:ささきいさお、こおろぎ’73

▲ささきいさをさんの唄う、ハードボイルドタッチでカッコいい主題歌

 

ed「いつか、花は咲くだろう」
作詞:八手三郎 / 作曲・編曲:渡辺宙明
唄:ささきいさお

 

「シリアス路線」が仇に

 

人気番組の後釜として期待され、開始当初の視聴率も20%台を記録する順調なスタートを切った本作ですが、徐々に下降線を辿り始めます。

 

個人的にはさほど不満もなく楽しく観ていたような記憶しかないのですが…そう言われれば人間ドラマ部分が長く、ゴレンジャーに比べると明るさ、痛快さがなく、どんより重い、暗い感じがしたかなぁ…。

 

制作側としては「娯楽性の強まっていった前作へのアンチテーゼとしてドラマ性とメカニックを重視したシリアスな作風」に舵を切ったそうで、結果的にはコレが失敗だった、のではありますが…

 

かといって同じ路線でも、成功していたのかどうなのか。

 

私は「ゴレンジャー」は明るい作風と共に、演じる役者さん達に魅力があったんだと思うんですよね。「ジャッカー」の出演者の役者さんには申し訳ないのですが、ぶっちゃけ誰一人として印象に残っていないという…。

 

さらには「ゴレンジャー」でやるハズだったスパイアクション要素を発展させてリアルな犯罪捜査を描き、主人公の人間像を描写する…要するに変身後のアクション、戦闘シーン以外で惹きつけるという作戦なのですが、それをやるには役者のキャラの魅力と、ウデ(演技力)が必要です。

 

だから「ジャッカーはシリアスで暗かったから不人気だった」という後の分析は、「それだけじゃないんじゃない?」という気がしてなりません。

 

テコ入れで追加戦士登場!

 

こうなると特撮番組ではお約束の、あの手この手の「テコ入れ」が行われます。

 

第13話から敵役の外見を「ゴレンジャー」の怪人に近くする、子供の出番を増やす…

 

そしていよいよ、第23話からは新キャラクターとして「番場壮吉/ビッグワン」が登場。後から来たくせに(後から来たから、か?)4人の火力/水力/原子力/自然の力をすべて持っている、というクイズの最終問題のようなキャラクター。そして演じるのは「アオレンジャー」だった宮内洋さん。登場早々「行動隊長」として強烈な個性を見せつけます。

これ以降、ジャッカー電撃隊は事実上「ビッグワンの手下」という、報われない扱いを受けることになりました。

なにせ元来の主演、主人公は丹波哲郎さんのご子息、丹波義隆さん。宮内洋さんは丹波さんと師弟関係にあり、お二方共に複雑な心境だったことでしょう(実際はビッグワンはジャッカー電撃隊をサポートする“引き立て役“として立ち回り、ズッコケも見せたりするのですが、どうしても目立つし、実際、宮内洋さんがカッコいいから仕方がないのですけどね 笑)。

 

ちなみに…あまり記述がないのですがこの「ビッグワン」はちょうどこの時期にホームラン世界記録を打ち立てた(1977年9月3日)巨人軍 王貞治選手のニックネームでした。

 

大人気番組の後釜はつらいよ

 

結局、「脱ゴレンジャー」を目指したハズの本作は、気がつけば「擬似ゴレンジャー」に…。

それでも視聴率の上昇にはつながらず、35話で打ち切られることになりました。

 

これは長く続く「スーパー戦隊シリーズ」で「最も話数が少ない作品」となってしまいました。

 

「トランプをモチーフにした4人のサイボーグ」という設定も見事で、ヒーロー達のデザインもカッコ良かったのに、さらには大ヒットした「ゴレンジャー」と同じスタッフなのに…。

 

世の中、「二番煎じ」「柳の下のドジョウ」という言葉がある通り…

「子ども番組を当てる」というのは、とても難しいものなのです。

 

こうして2作目にして早くも存続の危機を迎えた戦隊シリーズ。

東映は、意表を突いて次作にアメコミヒーローの「スパイダーマン」を持ってくるのです。

>”地獄からの使者”「東映版スパイダーマン」はコチラ

 

対決シリーズの元祖「ジャッカーvsゴレンジャー」

 

テレビシリーズ終了後の1978年3月、前作「ゴレンジャー」とのクロスオーバー作品である劇場用オリジナル作品「ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー」が公開されました。

これは今も踏襲され「新番組ヒーローvs前番組ヒーロー」は、東映スーパー戦隊シリーズ劇場版の定番になって続いています。

 

実際は対決せずに「共闘」するんですけどね(笑)

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