アニメ「うる星やつら」~1981-1986 80年代を代表するエポックなアニメ作品

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1981年にスタートした「うる星やつら」が、TVアニメ放送40周年だそうです。原作者の高橋留美子さんが2021年10月、手塚治虫さんに次ぐ日本人2人目の米国漫画賞「ハーベイ賞」で殿堂入りを果たしたというニュースも報じられました。

 

そこで今回は、80年代を代表するTVアニメ「うる星やつら」が与えた影響とその時代について、ご紹介します。

 

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時代の転換点

 

TVアニメ「うる星やつら」が放送をスタートしたのは、1981(昭和56)年10月14日。

 

フジテレビ系列、毎週水曜19時30分からで、その前の19時枠はこの半年ほど前から、「Dr.スランプ アラレちゃん」が大人気を博していました。

 

そして19時半からの枠に、「スター千一夜」という渋い大人向け番組に変わって登場したのが「うる星やつら」。このバトンタッチは、まさに「深刻な70年代から軽佻浮薄な80年代」の幕開けを感じさせる変化な気もします。

 

 

大学生デビュー・「天才」高橋留美子の衝撃

 

「うる星やつら」は当時「週刊少年サンデー」で連載中、高橋留美子先生の連載デビュー作でした。

 

初期は高橋先生が大学在学中(!)だったため不定期の短期集中連載でしたが、その才能に読者だけでなく多くの同業のマンガ家、業界人が「天才現る」と、衝撃を受けます。

 

なんとこの頃すでに、本作はよみうりテレビが円谷プロと実写ドラマ化を検討されていたそうです(実現しなくてよかった 笑)

 

そして卒業後、本格的な連載を開始するや、あだち充先生の「タッチ」と並び、当時の週刊少年サンデーの2本柱となりました。

 

 

メディアミックス戦略の先駆け

 

「うる星やつら」はTVアニメ化されると全219話、なんと4年半も続く人気番組となりました。さらには劇場版6作、OVA12作、サウンドトラックアルバム7枚と「メディアミックス」の先駆けとなる、大ヒット作品に。

 

 

「うる星やつら」は、美少女+学園モノ+ドタバタギャグ+ラブコメ+SFに、お色気、ツンデレ、コスプレ、方言、ロリ 、ショタ、ミリタリー、妖怪、ケモナーなどなど、後のアニメ作品の定番になる各種要素がてんこ盛り。続々と創刊されるアニメ商業誌に加えて、盛り上がりはじめたコミックマーケット(いわゆる「コミケ」)で、同人誌(薄い本)が溢れる”異常人気”になりました。それまで”男性至上主義”だったこのジャンルに、女性作家の本作が登場したことで、今でいう「腐女子」が誕生するきっかけになった作品、と言えるかもしれません。

 

 

露出過多コスの「ラムちゃん」はじめ、男性キャラより女性キャラが多いのは当時としては異色。さらには一見ギャグマンガに見えない「きれいな作画」も、画期的でした。

 

しかしながらストーリーはどこまでも荒唐無稽で、オタク要素満載なのに明るくナンセンスかつ、果てしなくポジティブなドタバタギャグ、というのが、まさに「るーみっくワールド」ならでは。

 

バブルに向かう80年代の時代の空気を象徴していて、閉塞的でネガティブ、トラウマを抱えまくりな「エヴァ」に代表される90年代以降とは、対極的にあるように思えます。

 

押井守氏の出世作

 

TVアニメ「うる星やつら」は、後に日本のアニメ界を支える、若き才能を数多く輩出したことで、伝説的な番組として知られています。

 

TVシリーズの初期チーフディレクターを務めた押井守氏は、後に日本を代表するアニメ監督に。文芸担当の伊藤和典氏、作画の森山ゆうじ氏や山崎かずお氏ら「スタジオぴえろ」の若手実力派アニメーターらと共に、先鋭的な演出を試みました。

 

 

押井守氏は1984年3月放映分(129話)をもってチーフディレクターを降板、スタジオぴえろも同時に退社。そのためTVシリーズは、前半と後半で作風が大きく異なっています。

 

やまざきかずお氏と「スタジオディーン」が引き継いだ第130話からの後半シリーズは、大きく変わった作風にアニメ版のファンから不満の声も多かった一方、原作ファンからは「るーみっく作品の雰囲気、ストーリーを忠実に再現」と評価する声もあり、賛否が分かれています。

 

「うる星やつら」OP/ED主題歌の変遷

 

本作は1クールごとにオープニングとエンディング楽曲が変遷していく、後のアニメ作品の先駆けでもありました。OPは6曲、EDは9曲もあります。

 

初代の主題歌「ラムのラブソング」は、今なお何度もカバーが繰り返される、世代を超えた名曲。そのほか、OP、ED、挿入歌で人気の楽曲が数多くあり、サウンドトラック盤がいずれもオリコンTOP10入りする程の人気を誇っていました。

 

 

OP主題歌01|「ラムのラブソング」
作詞: 伊藤アキラ/作曲・編曲 :小林泉美/歌:松谷祐子

 

OP主題歌02|「DANCING STAR」
作詞:伊藤アキラ/作曲・編曲:小林泉美/歌:松谷祐子

 

OP主題歌03|「パジャマ・じゃまだ!」
作詞:康珍化/作曲:林哲司/編曲:椎名和夫/歌:成清加奈子

うる星やつら OP 成清加奈子 「パジャマ・じゃまだ!」 フルバージョン
うる星やつら OP 成清加奈子 「パジャマ・じゃまだ!」 フルバージョン うる星やつらのOPでは2番目に好きかな。Cindy "Open Invitation"フルバージョン→sm1114498。

 

 

EDテーマ01|「宇宙は大ヘンだ!」
作詞:伊藤アキラ/作曲・編曲:小林泉美/歌:松谷祐子

 

EDテーマ02|「心細いな」
作詞:地恵子・シュレイダー 寛川翔/作曲:小林泉美/編曲:星勝/歌:ヘレン笹野

うる星やつら・心細いな
うる星やつら・心細いな 生放送用にと。

 

問題作の劇場版「ビューティフルドリーマー」

 

押井守氏が監督を務めた劇場版「うる星やつら ビューティフルドリーマー」。(1984年2月11日公開/同時上映は吉川晃司さんのデビュー作「すかんぴんウォーク」!)は、賛否両論を巻き越した一方で、後のアニメ作品に多大な影響を与える作品となりました。

 

 

 

それは本作が、原作の「ラブコメ」の空気を大きく逸脱して幻想的な「異空間」表現を取り入れ、現代では当たり前になっているパラレルワールド(別の世界線)、ラノベ風ストーリー的な「時代を先取り」していたからでした。

 

これは当時の原作ファンから「これはもはや、うる星やつらじゃないじゃないか」と批判されました。作者の高橋留美子さんは、今作の画期的さを称えた上で「これは押井さんの作品だと思います」と発言。押井守氏は本作とTVアニメ129話をもって本作から”撤退”しました。

 

 

「うる星やつら」エピソード部門BEST10

 

久々に見たくなった方向けの参考に、2019年11月16日に開催された、NHK BS「全るーみっくアニメ大投票」の「うる星やつら」エピソード部門の投票結果TOP10をご紹介します。

 

1位:第67話 君去りし後
2位:第98話 そして誰もいなくなったっちゃ!?
3位:第180話 ダーリンのやさしさが好きだっちゃ
4位:第20話 ときめきの聖夜(後編)
5位:第1話 うわさのラムちゃんだっちゃ!
6位:第218話 オールスター大宴会!うちらは不滅だっちゃ!
7位:第140話 ラムちゃん牛になる!?
8位:第129話 死闘!あたるvs面堂軍団!!
9位:第101話 みじめ!愛とさすらいの母!?
10位:第128話 スクランブル!ラムを奪回せよ!!

 

 

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(C)高橋留美子/小学館

 

コメント

  1. みきろ より:

    今回の記事で最も衝撃的だったのは、「うる星やつら」が「スター千一夜」の後番組だったことです。

  2. 雪月花 より:

    TERU様 こんばんは。
    私は高橋留美子先生と同じ新潟の人間で身近に感じています。高橋作品も『めぞん一刻』など色々読んでますし、この『うる星やつら』はまさに当時画期的だったんでしょうね。私は小学校低学年だったので、刺激が強いと親が判断したのか?なんなのか当時あまり触れる機会が無かったのが惜しいです。
    それにしても、円谷プロによる実写化は想像もできませんが…笑
    その場合、ラムちゃん役は誰なんだろう…とか想像が膨らみます

    • MIYA TERU より:

      コメントありがとうございます!私は長らくヤマト>ガンダム>エヴァがエポックだと思っていましたが、今回改めて、「うる星やつら」がいかに画期的でエポックメーキングだったのか、思い知らされました(いまさら)。そういえばエヴァを初めて見たとき、「マジンガーZとガンダムとヤマトとウルトラマンとうる星やつらを足したような作品だな」と感じたのを思い出しました。(当時は社会人でアニメをほとんど見なくなっていたので、SF学園ラブコメ=うる星という認識でした)

      そして私も円谷プロの実写版、ラムちゃんのキャスティングには非常に興味があります。とはいえ、おそらくはB級でぜんぜんかわいくない子がキャスティングされてものすごく残念な作品になり、「あの人はいま?」になってた可能性大ですね(笑)

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