2017年、YouTubeから火がついて話題になった大阪府立登美丘高校ダンス部による「バブリーダンス」。
その象徴曲は荻野目洋子さんの「ダンシングヒーロー」。
ボディコン・ワンレンのコスプレをした高校生によるバブルのパロディは、バブルネタ芸人 平野ノラのブレイクと相乗効果で、紅白で共演する程のブームとなりました。
が…。
荻野目ちゃんの「ダンシングヒーロー」はバブル時期の楽曲ではありません。
「そんな細かいこといいじゃん」「ノリだよノリ」と片付けられるでしょうが、同世代で微妙に違和感がある人は少なくないハズなので、敢えて言及しておきます。
●バブルではない、とは?
「バブル景気」は1986(昭和61)年12月から1991(平成3)年2月までの51か月間、とされています。これは経済指標的な期間ですが、庶民が体感した肌感覚も、大体同じだと思います。
「ダンシングヒーロー」は、1985年11月発売。なので、ちょうど1年前、「バブル前夜」のヒット曲です(正確には「85年9月プラザ合意によって1ドル200円を割る急激な「円高不況」のタイミングです)。
「発売はバブル前かもだけど、ヒットしたのはバブル期でしょ」という指摘があるかもですが、当時のアイドル歌謡界のスパンの短さをナメてはいけません。およそ3ヶ月周期で新曲がリリースされてましたから、1年前のヒット曲は過去のもの、が当時の認識でした。
そしてなにより、荻野目ちゃん自身も、そんなバブルを象徴するような浮かれたキャラでは、まるでなかったのです。
これが、我々世代からすると、「ダンシングヒーロー=バブル」と言われる際に感じる、違和感の正体です。
まぁ、当時を知らないJKからすると「バブル=ディスコ=ユーロビート」なのでしょう。コーチも若い先生みたいなので、ザックリしてるのは仕方ないですね。
さらには、荻野目ちゃんご本人も32年ぶりのリバイバルヒットに思い切り乗っかってるので、私も野暮なことは言いたくないのですが、「間違いは間違いだ」と指摘してあげるのもオトナの役割だと思います(笑)。
●だったら「リアルバブルな楽曲とは?」
アイドルのユーロビートカバーですと、
・長山洋子「ヴィーナス」(1986年)
・BaBe「Give Me Up」(1987年)
・森川由加里「SHOW ME」(1987年)
・Wink「愛が止まらない ~Turn It Into Love~」(1988年)
・Wink「涙をみせないで ~Boys Don’t Cry~」(1989年)
ジャンルは違いますが
・石井明美「CHA-CHA-CHA」(1986年)
この辺りが「リアルバブル」です。バブルっぽいなら、トレンディドラマの主題歌の方がしっくりきます。
バブリーダンスのJKに誰か教えてあげてください(笑)。
●我々も間違っているバブル認識
ちなみに、我々リアルタイム世代も認識が誤っている事象がもう一つ。
バブルといえば「ジュリアナのお立ち台」が常識ですが、なんとジュリアナ東京がオープンしたのはバブル崩壊直後の1991年5月。その後、92~93年をピークに、94年閉店です。
ジュリアナはバブル崩壊後のカルチャーだったのです。ビックリです。
そんなワケで、まぁ雰囲気として「バブルっぽい」のが「ダンシングヒーロー」で、あの曲だからあそこまで話題になったのでしょうし、荻野目ちゃんも再ブレイクして、誰も損も傷ついてもいないので、まぁいいかと。
でも、やっぱり、「ダンシングヒーローはバブルじゃない」のです←しつこい(笑)
余談ですが、私はバブルが崩壊した直後に新卒採用して社会人になりました。ですので、まるで恩恵とは無縁でした。散々、「あの頃はすごかった」という話を聞きましたが、長い目で見ると、新人時代にバブルなんておかしな経験をしなくてよかったな、とつくづく思います。負け惜しみじゃないですが(笑)
完
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