「うしろゆびさされ組」「うしろ髪ひかれ隊」と「ハイスクール!奇面組」〜1985-1987 おニャン子クラブ/80年代アイドル⑬

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80年代中期に一大ブームを巻き起こした「おニャン子クラブ」からの2組の派生ユニット、「うしろゆびさされ組」「うしろ髪ひかれ隊」。

久方ぶりにSpotifyなどで楽曲を耳にして、その妙なクオリティの高さに驚きました。量産されまくったおニャン子楽曲の中でも、この2組(と河合その子)楽曲のクオリティは、ちょっと異質な気がします。

 

その理由は…「うしろ指」には後に秋元康氏と結婚する高井麻巳子が、「うしろ髪」にはゴッキーこと後藤次利氏のお気に入りの工藤静香がいたからなのではないでしょうか(河合その子こそその理由)。たぶんきっと、絶対そうだ、間違いない!

 

そんな訳で(どんな訳だよ)、今回はこの2つのユニットの、TVアニメ「ハイスクール!奇面組」とのコラボ戦略が展開された、シングル楽曲について振り返ります。

 

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「うしろゆびさされ組」の誕生

 

フジテレビで平日夕方に生放送されたバラエティ番組「夕やけニャンニャン」。関東ローカルながら口コミで話題を呼び、「おニャン子クラブ」「とんねるず」人気が中高生を中心に爆発。ネット局が全国に展開しました。

 

>「夕やけニャンニャンとおニャン子クラブ」はコチラ

 

そんな中、アニメ新番組「ハイスクール!奇面組」の企画を知ったチーフディレクターの笠井一二氏が編成局に「テーマソングを作らせてくれ」と依頼。

 

そして「作品のヒロイン宇留千絵と河川唯に雰囲気が似ている」「フジテレビからのタクシーでの帰宅方向が同じ」との理由で、高井麻巳子(現 秋元康夫人)と岩井由紀子によるユニットが誕生しました。

笠井氏はブレーンである秋元康氏と共にユニット名を考案、デビューシングルのタイトルと同じ「うしろゆびさされ組」に決定。当初は「パパイア組」「キュウリ組」「かいわれ組」などの候補の中から「キウイ組」に決定、既にシングル・ジャケット3万枚が印刷されていたそうです。

TVアニメ「ハイスクール!奇面組」

 

集英社 週刊少年ジャンプに連載中の人気マンガ「ハイスクール!奇面組」。

 

フジテレビ系列で毎週土曜日19:30~20:00枠でアニメ化され、1985年10月12日~1987年9月26日まで全86話が放送される人気番組となりました。

アニメでは、原作では控えめだったラブコメ路線をフィーチャーしてヒロインの河川唯と宇留千絵人気がさらに高まり、その実写版キャラである「うしろ指さされ組」の人気も高まるという、理想的なコラボが実現しました。

 

秋元康&後藤次利コンビによる楽曲をOPとEDに起用

 

TVアニメはオープニング主題歌、エンディング、さらには劇中の挿入歌まで「うしろ指さされ組」が担当する入魂ブリ。楽曲のほとんどは、本隊おニャン子クラブを牽引していた作詞:秋元康&作曲:後藤次利コンビが手がけました。

 

本作品のオープニングとエンディングは楽曲と連動する演出がキャラクターの魅力をさらに引き出し、原作や本編以上に「青春の甘酸っぱさ」を表現。

 

アニメヒロインと実在2人のキャラのシンクロ率が高いため「アイドル本人が登場しないのに、見事なアイドル楽曲のPV」になっているのが、画期的でした。

 

OP「うしろゆびさされ組」うしろゆびさされ組

作詞:秋元康/作曲:後藤次利/編曲:佐藤準

 

デビューシングルが第1話 – 第23話のオープニング曲。オリコン最高位5位、売上20.9万枚。

 

ユニークな楽曲タイトル、ユニット名も同じなことも重なり、一気に知名度が高まりました。テンションの上がりまくる名イントロ、うねりまくりのリズム隊、間奏などアレンジも凝りまくった名曲です。

ED「女学生の決意」うしろゆびさされ組

作詞:秋元康/作曲:西崎憲/編曲:山川恵津子

 

第1話 – 第8話のエンディング曲。昭和歌謡チックなデビュー曲のカップリングでした。

 

ED「バナナの涙」うしろゆびさされ組

作詞:秋元康/作・編曲:後藤次利

 

2nd.シングルはオープニングではなく、第9話 – 第23話のエンディング曲に起用。1番と2番の歌詞を組み合わせて使用されています。初のオリコン1位を獲得、売上も30万枚超えとユニット史上最高を記録。

 

前作とはうってかわって能天気かつトロピカルな雰囲気。ヒットの理由はなんといっても「隠喩に溢れたややエロの歌詞を、清純派そのものの2人が唄わされる」というギャップにあり、この後の路線を確定させました。

OP「象さんのすきゃんてぃ」うしろゆびさされ組

作詞:秋元康/作・編曲:後藤次利

 

3rd.シングルは第24話 – 第36話のオープニング曲に。オリコン1位、売上23万枚。

 

楽曲自体は夏イメージの名曲なのですが、前作以上に過激な(というよりキモチ悪い)タイトル、微エロ+童謡チックな世界観で話題をさらいました。「とりあえずインパクト、なんでもアリ」な当時の勢いを感じます。

 

象さんのすきゃんてぃ - うしろゆびさされ組

OP 「渚の『・・・・・』(なぎさのかぎかっこ)」うしろ指さされ組

作詞:秋元康/作・編曲:後藤次利

 

4th.シングルは第37話 – 第49話のオープニング曲。オリコン1位、23万枚。

 

歌詞、曲、アレンジ共に隠れた名曲。このメインリフは「モニカ」で、それを当時、吉川晃司さんのアレンジャーを務めていたゴッキーがやるのがミソです(後藤次利さんは「モニカ」当時は関わってませんけど)。

 

ED「のっとおんりぃ★ばっとおるそう」 うしろゆびさされ組

作詞:秋元康/作・編曲:後藤次利

 

第37話 – 第49話のエンディング曲。

4thシングルのカップリングでした。このタイトルはインパクト絶大で、A面でもないのに知名度高かったです。

 

OP 「技ありっ」うしろゆびさされ組

作詞:秋元康/作・編曲:後藤次利

 

5th.シングルは第50話 – 第59話のオープニング曲。オリコン1位、15.1万枚。

エレクトリカルパレード風のマーチ調の楽曲。この時期から加熱一方だった「おニャン子ブーム」もやや沈静化し始めた気がします。

ED「かしこ」うしろゆびさされ組

作詞:秋元康/作・編曲:後藤次利

 

第60話 – 第65話のオープニング曲は、うしろゆびさされ組のラスト(6th.)シングル。オリコン1位、12.3万枚。

 

楽曲は「うしろゆび」らしい明るい佳曲で、サビが印象的です。

ED「ピタゴラスをぶっとばせ」うしろゆびさされ組

作詞:沢ちひろ/作・編曲:後藤次利

 

第60話 – 第65話のエンディング曲は、「かしこ」のカップリング。

 

レベッカでNOKKOとの共同作詞、沢田知可子「会いたい」などで知られる女性作詞家の沢ちひろさんが起用されたデキシー調の楽曲です。

 

「うしろ指さされ組」の解散

 

1987年3月末、高井麻巳子がおニャン子クラブを卒業。これに伴いユニット“うしろゆびさされ組”は解散することになりました。

 

うしろゆびさされ組

 

同年3月14日に放送された第63話「うしろゆびさされ組の卒業式ジャック」には本人キャラクターが登場し、番組内で解散ライブを行うというサービスぶりでした。ぜんぜん似てませんが(笑)

 

「うしろ髪ひかれ隊」の誕生

 

人気絶頂で惜しまれつつ解散した「うしろゆびさされ組」の後継として、同じくおニャン子クラブから生稲晃子・工藤静香・斉藤満喜子による「うしろ髪ひかれ隊」が誕生。

後を引き継いで、アニメ番組最終回までの楽曲を担当しました。

 

結成当初は「ローソンからあげくんのCM」に単独出演、おニャン子クラブの楽曲でもフロントを務めるなど人気上昇中の生稲晃子がセンター。生稲と工藤の2人は前年秋の渡辺満里奈のデビューシングル「深呼吸して」にバックコーラスとしても参加していました。

 

その後、工藤の人気が高まり、早くも2nd.シングルから工藤がセンターになりました。

 

 

OP「時の河を越えて」うしろ髪ひかれ隊

作詞:秋元康/作・編曲:後藤次利

 

第66話 – 第78話のオープニング曲

が、うしろ髪ひかれ隊のデビューシングル。見事オリコン1位を獲得しました。

 

エスニック調な旋律、SFチックな世界観の名曲です。

ED「うしろ髪ひかれたい」うしろ髪ひかれ隊

作詞:秋元康/作・編曲:後藤次利

 

同第66話 – 第78話のエンディング曲は、デビュー曲のカップリングです。アーティスティックなカッコいいロック楽曲です。のちの工藤静香ソロ路線はここから始まった感じですね。

OP「あなたを知りたい」うしろ髪ひかれ隊

作詞:秋元康/作・編曲:後藤次利

 

2nd.シングルは第79話 – 第86話(最終話)のオープニング曲となり、オリコン最高位2位を獲得。

またまたエスニック調でカッコいい楽曲ですね。この曲からセンターが生稲晃子から工藤静香になりました。

OP「立つ鳥跡を濁さず」うしろ髪ひかれ隊

作詞:秋元康/作・編曲:後藤次利

 

第79話 – 第86話(最終話)のエンディング曲。「あなたを知りたい」のカップリング。

番組終了を思わせる卒業式の描写です。

 

 

その後の「うしろ髪ひかれ隊」

 

1987年9月26日、2年に渡って続いたアニメ番組「ハイスクール!奇面組」が終了。ほぼ同時期に「おニャン子クラブ」も解散となりました。

 

「うしろ髪ひかれ隊」は、レコード売り上げが好調であることでおニャン子本体解散後も活動は継続され、後番組「ついでにとんちんかん」の主題歌も担当。

 

しかし1987年8月からソロ活動を開始していた工藤の人気が上昇、ドラマへ出演などでがスケジュールが厳しくなったため、3人はそれぞれソロでの活動をスタート。

 

1988年5月2日のファーストコンサート追加公演(東京厚生年金会館)を最後に、グループとしての活動を停止しました。

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