「シャタラー」~1987 日伊合作 吉川晃司 主演映画4作目はイタリア映画

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今回は「80年代吉川晃司さんシリーズ」番外編。

日伊合作映画「シャタラー」をご紹介します。

 

「すかんぴんウォーク」

「ユー・ガッタ・チャンス」

「テイク・イット・イージー」

に続く、吉川晃司さん4作目の主演映画です。

「THE SHATTERER(シャタラー)」

1987(昭和62)年6月13日公開 109分 カラー ヴィスタビジョン
監督:トニーノ バレリ
配給:東宝 製作:渡辺プロダクション / フィルムセレクト

 

当時、VHSが発売されたのみで廃盤になり、DVD化もされず、現在は観ることができません。

 


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■ボスからの交換条件

「民川裕司シリーズ3部作」の完結から1年。

 

「芸能界、歌謡曲じゃなく、ロックがやりたい。それには“the 芸能界“ナベプロを辞めるしかない」

 

そう決意する吉川晃司さんに対し、育ての親であるナベプロ創業社長、渡辺晋氏から独立を認める替わりに半ば交換条件として出されたのが、「最後にイタリアで1本、映画を撮ってこい」との指令でした。

 

撮影は、5thアルバム「A-LA-BA・LA-M-BA」レコーディング中、全国ツアーも控える中での強行スケジュールでした

渡辺晋さんの吉川晃司さんに賭ける情熱と愛情は深く「唄と銀幕で活躍するスタア」、かつての小林旭さん、加山雄三さんのようになって欲しかったのだと思います。

 

そしてさらにその上をいく、世界に通用するスターに育てたい。
往年の大スター、エルビス プレスリーのイメージだったのかもしれません。

 


■「THE SHATTERER」

 

日伊合作映画。渡辺晋総指揮でナベプロが製作費の半分を出資しました。

 

監督にマカロニ ウェスタンの巨匠 トニーノ ヴァレリ氏を迎え、事前に吉川晃司さんのツアーを観てもらい、特別ゲストに“世界のミフネ”三船敏郎さんをキャスティングする熱の入れようでした。

 

▼ポスターやチラシには吉川晃司 世界進出!の文字が。

 

イタリア シシリー島を舞台に、当時の自動車貿易摩擦で起きた実話を基にした社会派サスペンス アクション。
全編英語で、日本人キャストは主演の吉川晃司さんと三船敏郎さんの2人だけです。

▲世界のミフネに出てもらうあたりに晋さんの愛情を感じます

 

吉川さんはレーサーの「コーイチ」役。

 

イタリア、シチリアにある日伊合弁の自動車メーカー工場で働く仲間が、ライバル企業であるアメリカの自動車メーカーに雇われたマフィアに殺され、その陰謀を暴くために立ち上がる…というストーリーです。

https://www.youtube.com/watch?v=hnWnvrj9YF0

 

主題歌は、吉川晃司さん作詞作曲の「終わらないサンセット」・・・なのですが、実際に使用されたのは音楽担当のトット テイラーがアレンジした、インストゥルメンタル バージョンでした。

 

▼このサントラも廃盤です。メインタイトルが007チックでカッコイイんですけどね。

 

 


■渡辺晋さん逝去

 

しかし。

本作の撮影中、制作総指揮(プロデューサー)である渡辺晋さんが、病気のため逝去(1987年1月31日、享年59歳)します。

そのあおりを受け、ストーリーが大幅に書き換えられた、と言われています。

 

当初コーイチのサポート役だったはずのアメリカ人俳優(アンディ フォレスト)が主役に格上げされ、吉川晃司さんの出番が減少。

このとき、何が起きたのか詳しい話は明らかになっていませんが、創業者の突然の訃報でナベプロ側も手が回らず、その間にイタリア側とのパワーバランスがおかしくなった、ということなんでしょうね。

 

ストーリーや設定自体は悪くなく、海外で孤軍奮闘する吉川晃司さんの見どころもあるにはあり、まったく面白くない!ということはありません(英語のセリフが明らかに吹き替えなのが違和感ありますけど)。

 

しかし、当初のシナリオ通り、吉川晃司さんメインのままだったらどうだったのか、おそらくその方が面白くなったに違いなく、残念です。

 

渡辺晋さんは、亡くなる直前まで「イタリアに様子を見に行こう」と楽しみにしていたとか。
完成を見届けられず、さぞかし無念だったことでしょう。

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