その昔、「アニメ」はまだ一般的な言葉ではなく、「テレビまんが」と呼ばれていた時代がありました。
それもアニメだけでなく、実写ものも含めて、「子ども向け番組」=「テレビまんが」というザックリした括りでした。
そして、60〜70年代の子ども達のお楽しみといえば、「東映まんがまつり」と、「東宝チャンピオンまつり」の二大オールスター戦です!
◆東映まんがまつり
1964年(昭和39年)「まんが大行進」、1967年(昭和42年)〜「東映こどもまつり」→「東映まんがパレード」→「東映ちびっ子まつり」と名称を変え、1969年(昭和44年)からは「東映まんがまつり」に固定されたそうです。
基本的に春休みと夏休みの年2回、東映のオールスター興行です。
その年々で人気のあるタイガーマスク、サイボーグ009、オバケのQ太郎、ひみつのアッコちゃん、ムーミンなどのアニメと、仮面の忍者赤影、仮面ライダー、スペクトルマン、バロム1など時折、東映作品以外の特撮もののTV再編集版と併せて、
69年 (春)長靴をはいた猫/(夏)空飛ぶゆうれい船
70年 (春)ちびっ子レミと名犬カピ/(夏)海底3万マイル
71年(春)どうぶつ宝島/(夏)アリババと40匹の盗賊
72年(春)ながぐつ三銃士
といったオリジナル長編が一度に観られる、テレビまんがのお子さまランチ的な豪華なラインナップです。
さらには、
・サイボーグ009や仮面ライダーなど人気作品のオリジナル劇場版
・マジンガーZvsデビルマン、グレートマジンガーvsゲッターロボなどの夢の対決
・飛び出す!キカイダー/イナズマンなどの立体映画(赤緑セロハンメガネ装着)
などの特別企画もふんだんに盛り込まれ、休みにどこか連れてけ、とせがまれる親からしたら、一日映画館で我慢すれば子ども達は大人しくしてるという、救いの神でもありました。(観客席で泥のように熟睡する親が多く見られました)
私はライバルである「東宝チャンピオンまつり」派でしたので、残念ながら「東映まんがまつり」を映画館で観た記憶はほとんどないのですが、この年の作品だけは記憶にあります。
1976年3月20日公開
長靴をはいた猫 80日間世界一周
ロボコンの大冒険
UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー
秘密戦隊ゴレンジャー 真赤な猛進撃!
一休さん
この「東映まんがまつり」はなんだかんだで90年まで続き、後の「仮面ライダー」「スーパー戦隊」劇場版などに引き継がれていきました。
1969年、これに対抗すべく、東宝が春、夏、冬休みに行うオールスター興行シリーズとしてスタートさせたのが
◆東宝チャンピオンまつり
です。
こちらは東宝のカンバンであるゴジラ映画(リバイバルやたまに新作)に、ウルトラマンシリーズ、東京ムービーやタツノコプロ作品のアニメ、まれにスポーツ映画やアイドル映画を加えたラインナップでした。
邦画斜陽の時代に「低予算であっても、とにかくゴジラ映画を残したい」との一念で東宝プロデューサーの田中友幸氏が企画したそうです。
当初は「怪獣のチャンピオンであるゴジラ、男の子向けアニメのチャンピオンである巨人の星、女の子向けアニメのチャンピオンであるアタックNo.1を一緒に東宝で公開する」というコンセプトだったそうで、当時人気だった「スポ根もの」を多く取り入れています。
こちらは、
1977年3月19日公開
キングコング対ゴジラ(短縮再編集版リバイバル)
巨人軍物語 進め!!栄光へ
円盤戦争バンキッド
ヤッターマン
まんが日本昔ばなし 桃太郎
を観に行きました。
我が家に当時のパンフレットがありますが、キンゴジ対決に若き日の長島、王、張本(実写です)、ヤッターマンにバンキッド(奥田瑛二さんデビュー作)そして桃太郎、という、めちゃくちゃなカード編成で笑えます。
劇場では「ヤッターマン」の主題歌を大合唱する客席のノリに、完璧に引いた事を覚えています(笑)。
▲右は兄貴の時代の東映まんがまつりパンフ。渋いです。
特筆すべきは、その前年1976年3月13日公開のラインナップ。この年は何故かディズニー特集で、
ピーター・パン
ドナルド・ダックのライオン大騒動
チップとディールの怪獣をやっつけろ!
ミッキーマウスのがんばれ!サーカス
ドナルド・ダックの人喰いザメ
と、ここまではよいのですが併映が
元祖天才バカボン
勇者ライディーン
タイムボカン
ディズニーとバカボンを一緒にするとは、無茶な事しますね、いまでは考えられません(笑)。
この「東宝チャンピオンまつり」は78年をもって終了し、その後、「ルパン3世 劇場版」そして、いまに続く「ドラえもん長編映画」シリーズに続いていくのでした。
いまでは「ドラえもん」「アンパンマン」「名探偵コナン」「クレヨンしんちゃん」「妖怪ウォッチ」「プリキュア」「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「ウルトラマン」などなど、それぞれ個別に劇場版がシリーズ化、上映されてますよね。
子どもや親の好みも細分化し、DVDや専門チャンネル、さらにはネット配信も普及した時代、「いろんなのが一度に観られる」という「まんがまつり」コンセプトはもはや、流行らないのでしょうか。でも、当時の「夢のオールスター戦」的なワクワク感は特別でした。「観た事なかったけど好きになった」というクロスセル的な“おまつり”が、年に一度くらいあってもいい気がしますね。
ちなみに往年の「東映まんがまつり」のオリジナル長編作品は、Amazonプライム・ビデオで観ることができます!
クオリティが高く、いま見ても充分楽しめます。小さなお子さんのいる方はご覧あれ。
*丸ごと復刻版のDVDシリーズも発売されています。
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