「デヴィッド・ボウイ」③~ジギー・スターダストとは何か?

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デビッド・ボウイの代表作「ジギー・スターダスト」とは何か?

 

ボウイの代表作である「ジギー・スターダスト」とは何か?

 

少々ややこしいのですが、ざっくり言うと

 

・ボウイが、異星からやってきた架空のスーパースター「ジギー」を演じ、

・ロック・スターとしての成功からその没落までの物語を描いたコンセプトアルバムのタイトルであり、

・キャラクターの名前であり、

・トータルコンセプトの作品、

ということになります。

 

 

前衛的すぎる「ジギー・スターダスト」のコンセプト

 

ジギーの存在はレコードの中に収まらず、ボウイは自らジギー・スターダストを演じてツアーをするという構想を実行に移します。

 

前髪は短く立たせ、後ろ髪は長く伸ばし、全体を赤に染めた奇抜なヘアスタイルと、眉なしで目の周りを真っ黒に塗り、明らかに薬物中毒的なガリガリの体躯、全身ラメのタイツほか中性的な衣装を身に纏い、厚底のロンドンブーツを履いた倒錯的なファッション。

 

さらにバンドメンバーにも髪を伸ばすよう指示し、ステージに上がる際には化粧を施してバックバンド、スパイダーズ・フロム・マーズ(火星から来た蜘蛛たち)へと仕立てあげる、徹底ぶりでした。

 

 

1972年2月からイギリスで始まったジギー・スターダスト&スパイダーズ・フロム・マーズによるツアーは世間に衝撃を与えます。

 

数年前まで長髪というだけで女みたいだと批判されるような時代に、ヒラヒラしたドレスや全身にピッタリと密着したタイツを着て、バックバンドと絡み合いながら歌う歌手なんて、前代未聞なワケです。

 

しかしジギーの中性的な輝きは多くの若者の心を掴み、新たな時代のロック・スタァとなります。

 

言ってみれば、美輪明宏さんや美川憲一さん、きゃりーぱみゅぱみゅ、そしてマツコやIKKOさん、KABAちゃんらの元祖とも言えるワケなのです(笑)

 

”歌舞伎”をモチーフにした、有名な山本寛斎氏によるコスチューム

 

 

ツアーは追加公演を重ね、秋からは半年かけてアメリカ中を回り、翌年には日本でもツアーを敢行します。

 

この時に山本寛斎さんがデザインを手がけ、歌舞伎の早替りをヒントにした衣装を着ていたりします(この時の漢字表記が、後の 暴威 の元ネタとされます)。

 

山本寛斎さん1971(昭和46)年に日本人として初めてロンドン・コレクションでデビューし、現地で絶賛されていました。

 

寛斎さん曰く「ボウイとつないでくれたのは知人のスタイリスト、高橋靖子さん。ヤッコさんがボウイのマネージャーに私のコレクションを見せたら『ぜひ着たい』となり、舞台衣装を手掛けることになった」のだそうです。

 

人気絶頂での”消滅”

 

その後、イギリスに凱旋帰国した後、再び国内を回ります。ジギー旋風は熱狂を呼び、その後はヨーロッパなど、翌年までツアーが予定されていました。

 

しかしここでまた、ボウイらしさが爆発します。

 

イギリスツアーの最終日となる1973年7月3日、ロンドンのハマースミス・オデオン公演のアンコール、次が最後の1曲という時に突然、「今回のツアーは自分の人生で最高のものになった。中でも今日のステージは一生忘れないだろう。なぜならツアーの最終日というだけではなく、このバンドも今日で最後だからだ。ありがとう。」

 

抜き打ちの「普通の地球人に戻ります」発言!

 

この模様はドキュメンタリー映画としてソフト化され、私もVIDEOソフトを持っていますが、館内は阿鼻叫喚の地獄画図、悲鳴と怒号の中、コンサートは終演します(笑)

 

後にボウイは「私がジギーから逃れるにはあの方法しかなかった」と語っていますが、これでボウイは「観衆を掌に載せて裏切る快感」に目覚めたと思われます。

 

そしてこれこそが、ボウイのボウイたる所以なのです。

 

この「ジギー・スターダスト」の世界観が猛烈に強烈だったのは、これがまだ70年代初期に生み出された、という点にあります。

 

ボウイの趣向である音楽、役者だけではなく、絵画やパントマイム、さらには日本の歌舞伎などを融合して「性倒錯宇宙人の奇妙奇天烈な過激な世界」を展開。当時のナウい英国ヤングに熱狂的な支持を得た一方、多くの封建的な大人達の猛烈な顰蹙を買いまくりました。

 

ちなみに、タイトルチューンのその名も「ジギー・スターダスト」という曲の歌詞には「ジギーは日本の猫のようだ」との一節があります。

 

 

この頃の聴衆は「デヴィッド・ボウイ」ではなく、あくまでも「ジギー」として支持し、「ジギー」は架空のキャラクターとしてロック界の頂点に立った訳です。

 

妖艶かつ狂気を振り撒く「ジギー」のキャラは、ボウイ自身の「バイセクシャル」というカミングアウトや、キテレツなメイクとコスチューム、過激なパフォーマンスによって、カルト的なスターとして神格化されていきました。

 

そしてその頂点に達した時、突如ボウイは「ジギー」を否定し、引退宣言をしてステージから姿を消す、という事をやらかしたのです。

 

当然、カルト的に崇拝していた信者連中は行き場を失いパニックです。いまだったらBlog炎上どころではないでしょう。

 


★David Bowie history Blog INDEX

「デヴィッド・ボウイ」①~変幻自在のロックスタァ入門
「デヴィッド・ボウイ」②~スペースオディティ 宇宙の旅
「デヴィッド・ボウイ」③~ジギー・スターダストとは何か?
「デヴィッド・ボウイ」④~プラスティック・ソウル
「デヴィッド・ボウイ」⑤~ベルリン・プログレ
「デヴィッド・ボウイ」⑥~前半まとめ&来日公演

「デヴィッド・ボウイ」⑦~レッツ・ダンス
「デヴィッド・ボウイ」⑧~ライブ・エイド
「デヴィッド・ボウイ」⑨~Tin Machine
「デヴィッド・ボウイ」⑩~ Sound + Vision Tour
「デヴィッド・ボウイ」⑪~Black Tie White Noise / OUTSIDE
「デヴィッド・ボウイ」⑫~Earthring & 中期以降のまとめ

「デヴィッド・ボウイ」⑬~引退?そして復活
「デヴィッド・ボウイ」⑭最終回~Blackstar そして伝説へ

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