「昭和のプロレス レコード」〜80年代プロレスLPの世界

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「プロレス 入場テーマ曲の世界」に続いて、今回は1980年代のプロレス LP(アルバム)レコードをご紹介します!

 

80年代、プロレス ブームの渦の中で数多くのプロレス レコードが発売されました。

 

レコード会社、レーベルもさまざま、そのクオリティはピンキリで、まさに玉石混交。まだ試聴も口コミもない時代、2,800円も払って「ハズレ」を買ってしまった時の失望たるや、悲惨なものがありました。

 

この時期のプロレスLPは、大きく以下に分類されます。

 

①テーマ曲をそのまま収録したもの
②テーマ曲と試合実況で構成したもの
③レスラー個人のメッセージとテーマ曲、試合実況で構成されたもの
④レスラー個人に歌わせたり、イメージ楽曲で構成したもの

 

ファンの多くは①が欲しいのに、この時期、レコード会社からリリースされるのは②〜④ばかり。

おそらくはオリジナルの版権問題をクリアするコストと手間をケチる+明らかにマーケティングをミスした結果、いったい誰得?の迷盤、珍盤の数々が発売され、「会場使用されている入場テーマ曲が聴きたい」ファンの願いは裏切られ、泣かされ続けました。

 


〈全日本プロレス〉

 

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「the GREAT FIGHTING」(テイチク)

 

1977年リリース、プロレスLPの草分け的存在の全日本プロレス テーマ曲集。「NTVスポーツ行進曲」、ミル マスカラス「スカイハイ」ジャンボ鶴田「チャイニーズ カンフー」はオリジナル音源が収録されています。

A面
①スポーツ行進曲 (NTV SPORTS MARCH)
②仮面貴族ミル マスカラスのテーマ (SKY HIGH)
③ジャンボ鶴田のテーマ (CHINESE KUNG FU)
④嵐を呼ぶリング・ファイターのテーマ (KUNG FU FIGHTING)
⑤衝撃のブレーン・バスター (LOVE FOR HIRE)

B面
①ザ ブッチャーのテーマ (M.O.R.F.)
②鮮血の空中殺法 (LOVE FIRE)
③リングの勇者に捧げるマーチ~人間風車ビル ロビンソンのテーマ (BLUE EYED SOUL)
④仮面貴族ミル マスカラスのテーマ (SKY HIGH)

 


 

〈新日本プロレス〉

 

●「新日本プロレス スーパーファイターのテーマ」(キング)

 

80年代プロレス アルバムの草分け、いまに続くキングレコード 新日本プロレス テーマ曲集の第1弾です。

A面
①テレビ朝日スポーツテーマ(モスクワ五輪)
②スタン ハンセン「ウェスタン ラリアット」
③タイガージェットシン「サーベル タイガー」
④ダスティ ローデス「アメリカン ドリーム」
⑤アンドレ ザ ジャイアント「ジャイアント プレス」
⑥剛竜馬「ビック チャレンジャー」
⑦アントニオ猪木「炎のファイター」

B面
①ホブ バックランド「バックランド ストレート」
②藤波辰巳「ドラゴン スープレックス」
③ストロング小林「ストロング ハッグ」
④木村健吾「ビューティフル フライト」
⑤長州力「パワーホール」
⑥木戸修「ブルー インパルス」
⑦坂口征二「燃えよ荒鷲」

肝心の猪木のテーマはカバーですが、それ以外はこのアルバム発売以降、実際に会場で使用されるようになり、数多くの「ホンモノ」を収録した名盤です。

 

●「新日本プロレス スーパーファイターのテーマII」(SMS)

 

A面
①アントニオ猪木「炎のファイター」
②坂口征二「燃えよ荒鷲」
③藤波辰巳「ドラゴン スープレックス」
以上、ディスコ アレンジ

④バッドニュース アレン「スナイパー フロム ザ ダークネス」
⑤星野勘太郎「フライング ボディープレス」
⑥谷津嘉章「アトミック ボンバー」
⑦ハルク ホーガン「ザ マッスル」
⑧アブドーラ ザ ブッチャー「吹けよ風 呼べよ嵐」

B面
①ジョージ高野「ファルコンズ アイ」
②キラー カーン「荒野の砂塵」
③前田明「クラッシュ ボーイ」
④タイガー戸口「阿吽」
⑤ディック マードック「テキサス トルネード」
⑥タイガーマスク「ローリング ソバット」

その名の通り新日テーマ集第2弾。にも関わらずほとんどが「イメージソング」で会場では使用されない謎曲だらけのトンチキ盤(アレン、星野、カーンは会場使用曲)。空前のタイガーブームの折にはジャンボ ピンナップ ポスター付き!と帯まで付けて売られたため、数多くのいたいけなプロレス ファンが騙されました。しかし参加ミュージシャンはやたら豪華、楽曲のクオリティも高いという謎の贅沢仕様でした。

 

●「ザ・レスラー」(日本コロムビア)

 

”新日本プロレス創立10周年記念盤”と謳いながら、ホンモノは「おまえは虎になれ」のみ、ほかはすべて謎のイメージソングという極悪アルバム。「買ってはいけない」の代表格です。なにせエグゼクティブ プロデューサーがゴジン カーン氏ですから…。

 


 

〈古舘アナ人気爆発!過激な実況アルバム〉

 

新日本プロレス ブーム、過激な実況で一躍大人気となった古舘伊知郎アナウンサー。その人気は本人監修、テーマ曲と試合実況を収録した(実況が主役の)アルバムが発売される程でした。

 

●「戦いのワンダーランド」(日本コロムビア)

 

テーマ曲は猪木、藤波、タイガーマスク、ホーガン ですが、いずれもカバー。楽曲と共に4人の名勝負の試合実況が収録されています。

 

●「戦いのワイルドストーム」(日本コロムビア)

 

こちらも同様にテーマ曲(猪木、前田、タイガー、藤波、ホーガンの5選手)のテーマと試合実況を収録。猪木のテーマは向井滋春アレンジのサンバ バージョンとレゲエ バージョン、その他の楽曲はYOUと和田哲郎演奏のカバーです。

 

この2枚に関しては、もはやテーマ曲収集目的ではなく、古舘アナの実況聴きたさに買う層(かく言う私もその1人です)が存在し大ヒットに。古舘アナのプロレス中継は「スポーツ実況」ではなく、猪木プロレスの男のロマンを増幅する「活弁士」だった、というのが私の持論です。画がないのに声だけで各シーンが想起される、そしてそれがすべてアドリブの生中継の産物というのはある種、イタコの域でしたね。

 


 

*猪木のテーマ「炎のファイター~INOKI INOKI BOM-BA-YE!」の謎

 

アントニオ猪木のテーマ曲。これほどニセモノばかりの楽曲はありませんでした。当時のLPに収録されているのはすべてニセモノ(あるいは原曲のアリ版の方)で、「今度こそは・・・」と期待しては裏切られ続けました。それだけに東芝EMIから発売されたこのシングル盤を見つけ、恐る恐るレコードプレイヤーで再生してホンモノだった時の感動はひとしおでした(笑) (私が一度だけ、アントニオ猪木さん本人に直接サインをもらった記念の品でもあります)

B面は倍賞美津子さんの唄う「いつも一緒に」。なんと炎のファイターのメロディに歌詞を付けた楽曲ですが、シャンソン風でなんともメロウな名曲なのです。

演奏は「アントニオ猪木とザ・ファイターズ」。これだけ有名かつ、演奏のクオリティも非常に高いのですが、当時のレコーディングや参加ミュージシャンなどについての記述を見かけたことがなく、謎なのですよね。。。

 


 

〈全日本プロレス〉

話題、視聴率共に新日本プロレスの後塵を拝し続けた全日本プロレスも、ハンセン移籍を機に逆襲に転じます。
日本テレビ系列のレコード会社、VAPから全日本プロレステーマ曲集が次々とリリースされました。いずれも選曲ラインナップは素晴らしいものの、楽曲はいずれもカバー。カバーのクオリティは高いのに、選手コールや倉持アナウンサーの紹介などの味付けがホントに余計でした。

 

●「ウェスタン・ラリアット」(VAP)

 

A面
①ジャイアント馬場「NTVスポーツテーマ/王者の魂」
②ジャンボ鶴田「ローリング ドリーマー」
③天龍源一郎「サンダー ストーム」
④NWA世界王者のテーマ「ギャラクシー エキスプレス」
⑤ミル マスカラス「スカイ ハイ」

B面
スタン ハンセン「サンライズ」
②ザ ファンクス「スピニング トー ホールド」
③リッキー スティムボート「ライディーン」
④ブルーザー ブロディ「移民の歌」
⑤夢の祭典のテーマ
⑥NTVテレビ スポーツテーマ

 

●「チャンピオンカーニバル」(VAP)

 

A面
①王者の魂
②グレートカブキ「ヤンキー ステーション」
③ジャンボ鶴田「T.T.バックドロップ」
④チャボ ゲレロ「カリフォルニア ハッスル」

B面
①NTVスポーツテーマ
②ザ ファンクス「スピニング トー ホールド」
③トミーリッチ「ロール ウィズ ザ チェンジス」
④ジミー スヌーカ「スーパー フライ」

 

●「MAIN EVENT」(VAP)

 

A面
①格闘技のテーマ
②ブルーザー ブロディ「移民の歌」
③ニック ボックウィンクル「プロレスリング イン ハワイ」
④チャボ ゲレロ「カリフォルニア ハッスル」

B面
①ジャイアント馬場「王者の魂」
②ジャンボ鶴田「ニューテーマ(J)」
③天龍源一郎「サンダーストーム」
④ザ グレート カブキ「ヤンキー ステーション」
⑤リッキー スティムボート「ライディーン」
⑥NWA世界王者「ギャラクシー エキスプレス」

 

VAPシリーズの決定盤としてリリースされたのがコレ。なんといってもこのアルバムには「J」の通称「VAP盤」(オリジナルではないが後に長く会場で使用されるようになったテイク)が収録されていることで知られています。

 


 

●「ザ プロレスリング」(ビクター)

 

A面
スタン ハンセン「サンライズ」
②ブルーザー ブロディ「移民の歌」
③NWA世界王者「ギャラクシー エキスプレス」
④ザ グレート カブキ「ヤンキー ステーション」
⑤ジャンボ鶴田「ローリング ドリーマー」
⑥ザ ファンクス「スピニング トー ホールド」

B面
ハルク ホーガン「ギャラクティカのテーマ」
②アントニオ猪木「炎のファイター」
③藤波辰巳「ドラゴン スープレックス」
④アンドレ ザ ジャイアント「ジャイアントプレス」
⑤長州力「パワーホール」
⑥アブドーラ ザ ブッチャー「吹けよ風 呼べよ嵐」

 

演奏:ザ プロレスリング オールスターズによる全曲カバーアルバムですが、アレンジがかなり原曲に近く、新日本、全日本の両団体の人気レスラーのテーマ曲”だけ”をきちんと収録した、ファン ニーズを捉えた良心的な作りでVAPアルバムに失望していた人々から大好評を得ました。

 


 

〈個人別アルバム〉

 

●「16文」(VAP)

 

1981(昭和51)年にリリースされたジャイアント馬場連続3000試合出場記念アルバム。NWA世界タイトルを奪取したブリスコ、レイス戦、ブッチャーとのPWF戦、ブロディとのチャンピオンカーニバルでの一戦、ガニアとの3000試合連続出場突破記念試合の実況と馬場自ら語るモノローグ、そして「王者の魂」が初めてレコードに収録。(これ以前の「王者の魂」は「予告編で流れる曲」程度で「馬場のテーマ曲」という扱いではありませんでしたが、このアルバムくらいから変わりました)

 

●「ザ メッセージ アントニオ猪木」(SMS)

 

1982(昭和52)年リリース。猪木自身のモノローグ、メッセージに加えてファイティング原田氏の猪木評、新日本プロレス創立10周年の名勝負を振り返る実況、さらには新間寿氏が解説する格闘技戦などを収録した、猪木信者必聴、数ある「企画盤」の中では珠玉の一枚です。

 

●「翔べ タイガーマスク」(キング)

 

初代タイガーマスクの1981年の デビュー戦から1982年のブラック タイガーまでの 8試合の実況録音と山形ユキオ氏によるイメージソング4曲を収録。

 

●「GO!GO!ドラゴン」(フィリップス)

 

藤波辰巳デビュー10周年記念盤。もはやテーマ曲も試合実況もなく、森田公一氏、千田和也氏らが書き下ろしたオリジナル楽曲を藤波が唄う、という珍盤。

 

●「革命戦士 長州力」(ディスコメイト)

 

1984年に発売。「長州力vs古舘伊知郎」のサブタイトル通り、テーマ曲と藤波との名勝負数え歌の実況を収録。

 

●「ハルクホーガン 一番」(ワーナーパイオニア)

 

プロレス入り前にバンド ミュージシャンだったホーガンの経歴を活かしたロック アルバムという異色盤。なんとルイス&チャーが演奏を担当し、「一番」「ナイトホーム」「ユーガットトゥリープ」「アックスボンバー」の4曲が収録されています。

 


 

〈ピクチャーレコード〉

ピクチャーレコードとは、アナログレコードの盤面(通常は真っ黒)に写真などがプリント、コーティングされたものでこの時期、大流行しました。

 

●「スタン ハンセン」(VAP)

 

プロレス物のピクチャー アルバム第1号。ここからレスラーのピクチャー LP ブームが起こります。
ハンセンのテーマ「サンライズ」から試合実況、ハンセン自身のモノローグで構成。ハンセンの語りは同時通訳形式で銀河万丈氏が日本語を担当しています。その他に「ギャラクシーエキプレス」「王者の魂」「移民の歌」「スピニングトーホールド」なども収録(王者の魂以外はカバーですが)。

 

●「テキサス ブロンコ」(VAP)

 

テリー ファンク引退記念ピクチャー アルバム。「スピニング トー ホールド」から本人のモノローグ、鶴田戦、ハンセン&ブロディ戦、ブッチャー&シーク戦などの実況も収録。

 

●「栄光の超人 ハルクホーガン」(キャニオン)

 

「アイ オブ ザ タイガー」などをバックに、ホーガンの試合実況を収録。

 

●「燃える闘魂 アントニオ猪木」(テイチク)

 

ピクチャー限定プレス盤。正規軍、維新軍、国際軍の軍団抗争をテーマに、猪木、ラッシャー木村、長州力、キラーカーンのテーマと試合実況が収録されています。

 

●「ザ タイガーマスク」(ディスコメイト)

 

新テーマ「バーニング タイガー」はタイガー本人の歌唱とインストゥルメンタルを収録。ほかにもプレスリーの「好きにならずにはいられない」などの本人歌唱曲を収録。こんなことまでさせられたら、引退したくなる気持ちもわかります(笑)。

 


 

いかがでしょう。あの頃のレコード売り場で見かけたアルバムはありましたか?

LP盤はジャケットサイズが大きくディスプレイ映えします。また、巨大なピンナップ ポスターが付属していたり、歌詞カードが写真集になっているものも多く、楽しみの一つでした。

中でもVAPからリリースされたシリーズはデザインが秀逸で、いま見てもカッコいいです。

 

まだまだ数多くのプロレス アルバムが存在するのですが、意外とネットに情報がまとまっておらず、情報収集に苦労しました。

「アレが載ってないぞ!」などのツッコミをお待ちしております(笑)

 

 

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コメント

  1. Nobuya Shimaue より:

    初めまして。こんにちは。
    「新日本プロレス スーパーファイターのテーマII」の
    収録曲について以下選手の曲も会場使用実績があります。
    谷津、ジョージ、前田

    恐らく使用回数は少なくテレビで流れたのも谷津の曲が1~2回、
    ノーテレビの地方で海外遠征に出る前にジョージ、前田の曲が
    使用されました。

    以上、参考まで

    • MIYA TERU より:

      初めまして、情報ありがとうございます!
      そうなんですね・・・奥が深いですねテーマ曲の世界。
      今後も宜しくお願いします!

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