80年代名盤⑧「大滝詠一」~1981 アルバム「A LONG VACATION」

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「80年代名盤」シリーズ、これまでは個人的な趣味で選定してきましたが(笑)、今回は誰もが「名盤」と異論がないであろう、このアルバムをとりあげます。

 

1981(昭和56)年3月にリリースされた大瀧詠一(アーティスト表記は大滝詠一)さんのオリジナルフルアルバム「A LONG VACATION」です。

「A LONG VACATION」大滝詠一
リリース:1981(昭和56)年3月21日
録音:CBS / SONY Roppongi & Shinanomachi
レーベル:NIAGARA ⁄ CBS/SONY
プロデュース:大瀧詠一

 

本作のスゴイところは、発売から40年が経過した現在も数多くのアーティストにカバーされ続け、CMソングで聴かない日はない、ということでしょう。それだけ先進的かつ普遍的なサウンドだった、ということでしょう。

 

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●1981(昭和56)年という時代

 

校内暴力が社会問題となり、なめ猫、機動戦士ガンダム、Dr.スランプアラレちゃんが大ヒット。
写真週刊誌の草分けである「FOCUS」、女性ファッション誌「Can Cam」が創刊。
黒柳徹子さんの「窓ぎわのドットちゃん」、つかこうへいさんの「蒲田行進曲」、森村誠一「悪魔の飽食」、田中康夫さんの「なんとなく,クリスタル」がベストセラーに。
歌謡界では寺尾聰さんの「ルビーの指環」が大ヒットした年です。

 

個人的には1980(昭和55)年までは「暗くて湿った70年代の延長」という雰囲気だったのが、この1981(昭和56)年から「明るい80年代=若者の時代が始まった」という気がします。

 

本作はまさにその幕開けに相応しい「みんなが待ち望んでいたお洒落で垢抜けた作品」という印象です。

 

●異例のロングヒット、大瀧詠一さん最大のヒットアルバム

 

1970年代まで、大瀧詠一さんの知名度はそれほど高くありませんでした。いまでこそ「日本語ロックの創始者バンド」的な評価を受ける「はっぴいえんど」のメンバーではありましたが「誰もが知る大ヒット曲」があるわけでもなく、その評価は一部の音楽ファンに留まっていました。

 

バンド解散後、大瀧詠一さんはソロとして活動して5年が経っていましたがまったく売れず。それだけに本作は「奇跡の大ヒット」と言われたのでした。

 

大瀧詠一さんご本人も「まぁ、売れるか売れないかはわからないし、期待半分、ダメだろう半分」という心境だった、と後に語っています。

 

発売元のCBSソニーは「シングルが売れないとアルバムも売れないから」とカネボウの化粧品CMソングの話を持ってきますが、「曲中に(後付けで)商品名を入れろ」との条件を大瀧詠一さんが拒否。その結果、本作のオリコン初登場は70位、発売から3ヶ月で10万枚というスタートでした。

 

ところがその後、本作は夏頃から急に売れ始めます。ロート製薬が「君は天然色」と「カナリア諸島にて」をCMに起用。夏全開の爽快なサウンド、イラストレーター永井博さんの手によるアートワークなども相まって、10万枚単位で売れ続けていきます。

 

本作はチャートが下がっては上がるを繰り返し、翌1982年にCD盤が発売されると「オリコン初のミリオンセールス」となる大ヒット作となりました。

 

大瀧詠一さんは「これが売れなかったら歌手としてのファイナルアルバムになるところだった」と語っています。

 

 

●大滝詠一&松本隆コンビ復活

 

本作が注目された最大の理由が、はっぴいえんどのラストアルバム「HAPPY END」以来となる松本隆さん(作詞)とのコンビ復活でした。

 

そのため本作の音楽ファンの間での注目度は高く、レコードショップで大々的に売り出されていましたし、大瀧さんご本人が歌謡番組に出演しないためTVではなくラジオで延々、パワープッシュされ続けました。

 

本作の大ヒットにより「はっぴいえんどの大瀧詠一」を知るリスナー以外にその魅力が広がり、松本隆さんとのコンビは当時人気絶頂の松田聖子さんの7thシングルと4thアルバム「風立ちぬ」で、さらに一般層に認知を高めていきました。

 

●収録曲

 

本作の構成はコンサートをイメージしています。チューニングからオープニングの「君は天然色」につながり、「FUN×4」のエンディングに拍手とアンコールがあり、それに応じる形で「さらばシベリア鉄道」によって締めくくられます。

 

〈A面〉

 

1. 君は天然色 作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一

大滝詠一 君は天然色 (ORIGINAL TRACK )

 

言わずと知れたフィル スペクターなら影響を受けた「日本版ウォール・オブ・サウンド”」体現したポップで分厚いサウンドの名曲。作詞の松本隆さんは最愛の妹を病気で亡くしスランプに陥り、本作への参加辞退を申し出ますが大瀧さんは「君の詞じゃないとだめだから半年でも1年でも待つ」(そのためアルバム発売が半年遅れに)。「想い出はモノクローム」「色を点けてくれ」という詞はそういう意味なのですね。

 

2. Velvet Motel 作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一

もともとはアンルイスさんに提供する予定だった楽曲の改題だそうです。

 

3. カナリア諸島にて 作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一

「君は天然色」のB面としてシングル・カット。

 

4. Pap-pi-doo-bi-doo-ba物語(ストーリー) 作詞/作曲:大瀧詠一

「セカンド・ラインとボ・ディドリー・スタイルを煮込んでハニカムズ・ギターで味を整えた上にドゥーワップ・ソースを振りかけた」「シンセ・ドゥーワップという史上初のジャンルを提示してみた」

 

5. 我が心のピンボール 作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一

意外にもこの楽曲のみ、ライブ演奏されたことが一度もないのだとか。

 

〈B面〉

1. 雨のウェンズデイ 作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一

当初は「恋するカレン」のB面としてシングル・カット(後にA面にも)。松本隆さんは作詞のみで演奏には参加していませんが、ギター鈴木茂さん、ベース細野晴臣さんと「はっぴいえんど」が再結集しています。

 

2.スピーチ・バルーン 作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一

パパス&ママスの「パフ」がモチーフといわれるスローバラード。

 

3.恋するカレン 作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一

大滝詠一 恋するカレン LIVE音源

1曲目と並ぶフィル スペクターの影響を感じる代表的な楽曲です。当初の関係者の評価は「君は〜」よりコチラの方が高かったのだとか。

 

4. FUN×4 作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一

曲中のコーラスに太田裕美さん、五十嵐浩晃さん、シャネルズが参加。後にご自身のプロデュースにより植木等さんにカヴァーされました。

 

5. さらばシベリア鉄道 作詞:松本隆/作曲:大瀧詠一

太田裕美さんへの提供曲のセルフカヴァー。後に大瀧さんが大ファンを公言する小林旭さんが「アキラのシベリア鉄道」としてカヴァーしています。

 

本作以降

 

大瀧詠一さんは1984年に「EACH TIME」を発表、初のオリコン1位を獲得する大ヒットとなりました。山下達郎さん、伊藤銀次さん、そして佐野元春さん、杉真理さんとの「ナイアガラ トライアングル 」、さらには松田聖子さん、薬師丸ひろ子さん、森進一さん、小林旭さん、小泉今日子さんなどへの楽曲提供など、2013年12月30日に65歳で急逝するまで、日本のミュージックシーンの重要人物であり続けました。

 

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