「プロレススーパースター列伝」〜1980-1983 梶原一騎劇場・プロレス少年のバイブル!

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今回は、80年代前半に少年サンデーに連載され、プロレスブーム時のプロレス少年たちのバイブルだった超人気マンガ、「プロレス スーパースター列伝」をご紹介します!

©小学館/少年サンデーコミックス/梶原一騎/原田久仁信


 

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■「プロレス スーパースター列伝」とは?

 

梶原一騎氏原作、原田久仁信氏画の漫画作品。週刊少年サンデー1980年23号から1983年26号まで連載され、「少年サンデー コミックス」全17巻が刊行。その後、何度も復刻されています。

 

このマンガで紹介された、虚実入り混じったエピソードの数々は、当時プロレスに興味、関心を持ち始めた少年たちにすり込まれ、もはや「プロレスファンの常識」となる程の影響力がありました。

 

「ドキュメンタリー」タッチで描かれていますが、そこは梶原一騎先生。より劇的、ドラマチックに誇張、デフォルメされ、もはやファンタジックな法螺話レベル。しかし、実にスリリングな展開で、とにかく面白い伝記になっています。

 

登場人物は当然、実在の人物、そしてプロレスファンならおなじみの大物ばかり。その栄光の影に隠された過去の残酷な逆境が描かれ、たまに実在しない謎キャラやフィクションがまぎれたりしながら、基本的に成功を掴む青春サクセス ストーリーですから、面白くないワケがありません。

 

事実と異なる点も多々あります。しかし、全部がデタラメかといえばそんな事はなく、「ウソのようなホント、ホントのようなウソ」が魅力のプロレス作品として、単純に読んで面白く、勉強になるのです。

 


 

■時代背景ッ!

 

この80〜83年は猪木 新日プロと馬場 全日プロの両団体が熾烈な興行戦争を繰り広げていた時期。

この頃、梶原一騎先生は異種格闘技戦、タイガーマスクと猪木 新日プロとは友好関係にあり、作中に「アントニオ猪木・談」というコラムが頻繁に登場します。しかし、実際に猪木にコメントを取っていたかは謎です(笑)。

ですので、どちらかといえば新日プロ寄り…と見られますが、そんなことはなく、馬場 全日プロに参戦しているレスラーも、数多く取り上げられています。

 


 

■特長ッ!

 

「ホゲ~ッ!」という独特の悲鳴が有名で、当時の読者はコレを楽しみにしていました。梶原先生もこの擬音は重要視していたらしく、原作の原稿用紙もここだけで1行を使い、太字で強調されていたとか。

それ以外にも「殺されるッ!」などの独特な言い回し、「ヌォーッ」などの擬音、時折現れる作画崩壊したような表情や狂ったパース、いたるところで「血のしたたるステーキ」など、クセになるフレーズが満載!

 

余談ですが…私は本作に描かれていた「デューク ケムオカ」(アメリカで活躍した日系レスラー)は誤植で、本当は「デューク ケオムカ」なのだ、という事をこの歳になるまでずっと知らずに生きて来ました…かなり衝撃です(笑)。

 


 

■エピソード紹介ッ!

 

それではエピソードを、少年サンデー連載順に、ご紹介します。(コミックスは刊行時期により掲載順が違ったり、未掲載のレスラーもあります)

 

①「父の執念!ザ ファンクス」(週刊少年サンデー1980年23号 – 29号)

オープニングは当時、全日プロの主役ともいえる正義の兄弟コンビ、ドリー ファンク Jr.とテリー ファンクのザ ファンクス編です。

本作では二人の父親であるドリー ファンク シニアのエピソードが詳しく描かれ、兄弟初の世界王者になるまでの軌跡などが描かれています。

 

②「首折り魔!スタン ハンセン」(週刊少年サンデー1980年30号 – 35号)

続けて、新日プロ→全日プロで最強のガイジンレスラーとして大人気だったハンセン編です。アマリロ ファンクス道場で鶴田らとトレーニングに励み、必殺の「ウェスタン ラリアート」を開発し、ニューヨークでサンマルチノの首を折り、スターダムに登りつめる姿が描かれます。本作品で語られた「ハンセンはラリアートでサンマルチノの首を折った」を今も信じる方は多いはず(実際はボディスラム時のアクシデントでした)。ハンセンは後のホーガン編、ブロディ編でも重要な人物としてたびたび登場します。

 

③「地獄突きがいく!A ザ ブッチャー」(週刊少年サンデー1980年36号 – 47号)

全日→新日→全日と活躍した悪役レスラーの代表格、ブッチャー編です。

若き日の無名レスラー時代、香港遠征で拳法家に敗れ東南アジアへ。シンガポールの空手の達人ガマ オテナ門下となり、地獄突きを初めとする空手技を習得、一躍実力派ヒールとしてスターダムに駆け上がる…というストーリーがファンタジックに描かれています。ホントかどうかはどーでもいいのです。本作では師匠格、先輩ヒールのザ シークがギャラをピンハネしたり、バトルロイヤルで潰そうとして来たり、とにかく狡猾でイヤなヤツぶりが強烈でした(まんざらウソでもない)。

「鉄の爪」フリッツ フォン エリックのリンゴ握りつぶしエピソードも!

 

④「世紀の巨人、A ザ ジャイアント」(週刊少年サンデー1980年48号 – 1981年1号)

国際→新日、後に全日でも活躍した、世界の大巨人アンドレ編。木こりをしていてスカウトされ、フランスでデビュー…その後の活躍が描かれます(国際プロ時代もさらっと)。ローデスとの友情物語も描かれてます。本作とは無関係ですが古舘アナ曰く「アンドレは故郷では村一番のチビだった」は笑えました。

 

⑤「千の顔をもつ男!ミル マスカラス」(週刊少年サンデー1981年2 / 3号 – 1981年17号)

昭和全日プロのチビッコのアイドル、仮面貴族ミル マスカラスと、弟 ドスカラス編です。

「馬場の招きで初来日」とありますが実際は1971年2月、日本プロレスに初来日が正しいです。「覆面の下はアランドロン のようなイイ男!」という猪木のコメントが印象深いです。

 

⑥「インドの狂虎!タイガー J シン」(週刊少年サンデー1981年18号 – 1981年24号)

新日→全日プロで活躍した伝説の狂乱ヒールレスラー、タイガー ジェット シン編です。

会場で突如、試合中に乱入してそのままシリーズ参戦、という衝撃的なデビューから、伝説の新宿伊勢丹前猪木(夫妻)襲撃事件〜大阪腕折り事件などの猪木との遺恨をメインに、インドレスラーの伝説やらフレッドアトキンスとの特訓やら、実はインドでは大金持ちの名門の生まれやら、盛りだくさんの濃い内容です。

 

⑦「なつかしのB・I砲」G馬場とA猪木」(週刊少年サンデー・1981年25号 – 1981年42号)

この当時、既に伝説となっていた馬場と猪木のBI砲編。力道山先生の馬場エコひいきと猪木イジメ、スクワット3000回で道場の床に汗の水たまり

 

刺されて入院時にサイダーと寿司食って死去!「先生ッ、なんたる無茶を!」

などなど、有名過ぎるエピソード多数。猪木会社乗っ取り追放事件についても描かれ「裏切り者は一説には上田馬之助とも」の一文は史実となりました。新日旗揚げ戦のゴッチ参戦での電話の会話「それともカールゴッチは超大物ではないかな?」「ゴッチさん!(涙)」も。

 

⑧「プロレスの神様!カール ゴッチ」(週刊少年サンデー1981年43号 – 1981年47号)

猪木のストロングスタイルの師匠、「神様」カール ゴッチが、英国ビリー ライレー ジム(通称「蛇の穴」)に入門してからの若き日を回想するストーリー。もはや神話です。

 

⑨「狂乱の貴公子!リック フレアー」(週刊少年サンデー1981年48号 – 1982年3 / 4号)

当時のNWA世界チャンプ、リック フレアー編。短足がコンプレックスだったフレアーが逆転の発想で4の字固めを必殺技にして世界チャンプになるまでのド根性ストーリー。ブッチャーがその度胸に惚れ込み味方についたり、リッキーや鶴田とのライバルストーリーも。

 

⑩「夢の英雄!タイガーマスク」(週刊少年サンデー1982年5号 – 1982年31号)

生みの親である梶原一騎先生自ら、謎に包まれたスーパーヒーローの正体にリアルタイムで迫るシリーズ最長編。「正体が仮に佐山サトルだとすれば…」とネタバレ寸前でタイガーマスク ブームを加速させました。

 

⑪「超人一番!ハルク ホーガン」(週刊少年サンデー1982年32号 – 1982年49号)

当時、新日マットで頭角を現して来ていたホーガン編。バンドマンでギタリストだった(実際はベーシスト)が、猪木アリ戦を見てレスラーになる事を目指す(たぶんフィクション)。ハンセンとの友情、アックスボンバー誕生秘話など。

 

⑫「文明のキングコング!ブルーザー ブロディ」(週刊少年サンデー1982年50号 – 1983年17号)

全日→新日→全日で活躍、若くして刺殺された伝説のブロディ編。

学生時代からのハンセンとの友情、元新聞記者の過去、フリッツ フォン エリックとのエピソードなど。オーストラリアでのアンドレ戦は、実際はセントルイスだった模様です。

 

⑬「東洋の神秘!カブキ」(週刊少年サンデー1983年18号 – 1983年26号)

ペイントレスラーとしてアメリカマットでブレイク、全日プロでも大ブームを巻き起こしたザ グレート カブキの誕生秘話。高千穂時代の日プロ ダラ幹の豪遊シーンなど見どころ満載で、こちらもリアルタイムにカブキ ブームを加速させました。

 


 

●終焉

 

ちょうどこの頃、原作者梶原一騎先生の逮捕により、連載は打ち切りとなりました。

もし、連載が続いていれば「ジャンボ鶴田編」の予定があった、と言われています。読んでみたかったですね。

 


 

●さいごに

 

この「プロレス スーパースター列伝」の“実在のアスリートの伝記をマンガ化する”というスタイルは、他に類を見ません。これは「梶原一騎」という巨人ならでは、だからこそできた荒業でした。

80年代、プロレス人気の盛り上がりと共に、ファンタジーとリアルの融合で大いなる夢物語を描いた作品として、プロレスブームの一翼を大いに担った、重要な作品です。

 

昭和のプロレスを学びたい人は必読です!

 

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