昭和特撮「ロボット刑事」〜1973 AIとロボティクスを先取り?石ノ森特撮ヒーロー

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今回は1973年に放送された特撮番組「ロボット刑事」。石ノ森章太郎先生原作の特撮番組の中では「仮面ライダー」や「キカイダー」などに比べるとマイナーで、いまや知る人ぞ知る…的な存在ですが、変身ブームの真っ只に現れた「変身しない」ヒーローであり「ロボコップの元祖」とも言われる作品です。

多くの人が「ロボット刑事K」(主題歌でそう連呼してます)がタイトルだと勘違いしていますが、正式なタイトルは「ロボット刑事」です(私もずっと間違えてました)。

 


■「ロボット刑事」
1973(昭和48)年4月5日〜9月27日
フジテレビ系
毎週木曜日19:00-19:30
全26話
東映

 

この作品には思い出がありまして…。

主人公の「K」はその名の通りロボットの刑事さん赤いダブルのブレザーに白いスラックス、黄色いハンチング帽を被り、冬場はトレンチコートを着ています。

 

幼心にこのファッションがカッコよく感じたんですね。オフクロにねだって「赤いブレザー」を買ってもらおうとしたのですが、この当時、男の子は黒とか紺色が定番で、赤いブレザーなんてまるで売ってないのです。それでもデパートを巡ってようやく見つけたのですが、背中がセンターベンツ。Kのブレザーはサイドベンツで、アクションの度にヒラヒラするのがカッコ良かったので「これじゃない」となり、結局買わず…「アンタのこだわりは…」と親に笑われたのをよく覚えています。

 

私が無意識に冬場にハンチングを被り、トレンチコートを着るのは、このロボット刑事K、もしくはタイガーマスク 伊達直人の影響だと思われます(笑)。

 

それにしても改めて見ると、ハンチングと手袋と靴が黄色、赤いジャケットに白パンツ、ボディが青なので完璧なトリコロール コーディネート。これで捜査するのはいくらなんでも目立ち過ぎです。


 

●フジテレビ初の石ノ森ヒーロー

 

本番組は「フジテレビ系列初」の石ノ森章太郎特撮ヒーロー番組です(当時の表記は石森章太郎)。

 

「仮面ライダー」(1971~72)

の大人気から始まった石ノ森先生原作の東映 特撮ヒーロー番組は、時代劇ものの

「変身忍者嵐」(1972)

へと続き、この2つは関西の毎日放送制作でした。

 

その後、東京キー局のNET(現 テレビ朝日)で

「人造人間キカイダー」(1972-1973年)~「キカイダー01」(1973-1974年)

シリーズが大人気を博します。

 

そして、本作品はフジテレビ系列でスタート。

時期としては

「仮面ライダーV3」(1973 昭和48年2月17日~1974 昭和49年2月9日)

「ロボット刑事」(1973 昭和48年4月5日~9月27日)

「キカイダー01」(1973 昭和48年5月12日~1974 昭和49年3月30日)

が、ほぼ同時期の作品です。

▲子ども雑誌の夢の競演グラビア

 

この時期の石ノ森章太郎先生はキャラクター デザインだけでなくコンセプトや基本プロット、悪役のキャラデザインと、実写とは微妙に作風が異なりますが原作マンガ連載も行なっていて、本作は「仮面ライダー」と同じく講談社「週刊少年マガジン」に連載されていました(ちなみに「人造人間キカイダー」は小学館「少年サンデー」に連載)。


 

■「変身しない主人公」

 

主人公が変身しない=最初からロボット、というのは、「変身」がブームだった当時ではなかなかチャレンジングな設定でした。

制作時の企画書には「変身ブームの次はロボットブーム」とあり、前年に放送開始した永井豪先生原作の「マジンガーZ」人気を意識した、と言われます。

そのため、初期案ではKが合体する巨大ロボット「ファーザー」の登場も予定されていたそうです。

▲没になったデザイン画

 

しかし、企画途中で「刑事モノ」というコンセプトが強まり、「本格派の刑事ドラマと特撮の融合」が図られ…巨大ロボット部分はなくなったのでしょうかね。

 


 

■「刑事モノ」としてのヒューマン ドラマ

 

普通に考えれば「ロボットが刑事で悪者をやっつける痛快作品」

…となるところですが、そこは石ノ森先生。そうストレートにはいきません。

 

警視庁に配属された犯罪捜査用ロボットKに対して、高品格さん演じるベテラン刑事が、とにかくKに冷たいのです。

このベテラン刑事が足と勘で捜査を行う昔気質…に加え、実は妻を交通事故で亡くしたことで「極端な機械嫌い」なのです。
後半では心を通わせていきますが、ストーリー序盤のKは「ロボットである」というだけで理不尽な差別を受け、仲間外れにされたり罵声を浴びせられたり、ひたすら辛い目に遭い続けます。


 

■ユニークな敵組織

敵となる犯罪組織「バドー」は、犯罪を“ビジネス”として行い、契約を取り交わした依頼人に犯罪ロボットを「レンタル」し、得た利益を依頼人と山分けするシンジケートという、「地球征服を企む悪の秘密結社」とは一線を画す凝った設定でした。

 

その割に、さまざまな特殊機能を持つ犯罪ロボットは見た目と共に「テナガマン」「ガトリングマン」「カラテマン」「ギョライマン」などのベタなネーミングが人気でした。


 

■着痩せがスゴイ

 

ロボットだけに終始無表情なKですが、怒ると目の色が黄色から赤に。

番組終盤、戦闘シーンになるとKは服を脱ぎ捨て、戦闘モードになり戦います。それまでスマートだったKが剥き身になった途端ゴツくなるため「着痩せがスゴイ」と言われます(笑)。

ちなみに、シリーズ終盤からは「ブローアップ」という強化モデルになり、全身真っ赤でミサイルだらけの醜悪なスタイルになりました…当時ではよくあるテコ入れなんでしょうが、このフォルムはゴテゴテし過ぎてカッコ悪いですね。


 

■大観音像「マザー」

 

Kが戦いに傷つくと、癒されるために登場するのが「マザー」。見た目に巨大な観音像で、遠くにぼんやり霞んで出現するサマが子ども心になんとも怖く、夢に出るレベル・・・トラウマな人も多いのでは・・・。

その後、全国に「巨大な観音像」建設ブームが起こりますが、ソレを見て「マザー」を思いだした人は私だけじゃないと思います。


 

■空飛ぶパトカー

 

Kは空飛ぶパトカー「ジョーカー」に乗っています。なんでも企画段階では「ロボット刑事 ジョーカー」となる予定で、その名残なのだとか。ガルウィングを認識したのはこのクルマが最初だったかもしれないです。


 

■実は深いテーマ

 

Kは見た目と違い、いつも低姿勢で先輩刑事にどやされて「すみません」と謝ってばかり。

Kは人間を守ろうとしますがその人間たちは犯罪に手を染め、Kは矛盾に悩み、ポエムをしたためたり、「僕はロボットだから人間と上手くやって行けないんだろうか」と悩んだりします。

 

ロボット刑事は単なる犯罪解決マシーンではなく、人の心理も理解しなければならず、ジレンマを抱えます。

 

石ノ森先生のヒーローは、いつもなんらかの矛盾と悲哀と孤独を抱えています。

「人造人間キカイダー」は、ピノキオになぞらえられ、キカイでありながら善悪の狭間に揺れ「人の心が欲しい」と悩む物語でした。

この「ロボット刑事」は、「人間の心を持つが故に悩むロボット」のお話でした。

 

当時の特撮技術はいま観るとチープでお笑いレベルなのは仕方ないところですが、このテーマって、「AIとロボティクスの進化により人間の仕事が奪われる」という現代社会の危惧を先取りした、早過ぎた作品と言えますね。

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