アニソン・特撮主題歌の巨匠③「冬木透」~1935- ロマンティックなウルトラマン楽曲/防衛隊ワンダバの元祖

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菊池俊輔さん渡辺宙明さんに続く「テレビまんが主題歌」の巨匠シリーズ。

今回は冬木透さんをご紹介します。

冬木透さんは、ウルトラマン シリーズのロマンティックなオーケストレーション楽曲と、勇壮な「ワンダバ」の元祖である作曲家。

ホルンの音色が印象的な「円谷サウンド」といえば、このお方です。

 


 

冬木透さんは1935(昭和10)年3月13日、旧満州国新京生まれ。

エリザベト音楽短期大学、国立音楽大学作曲科を卒業され、聖歌や西欧古典音楽の基礎を学ばれているお方。本名の本名の蒔田尚昊(まいたしょうこう)名義では、賛美歌や合唱曲などを作曲されています。

 

1956(昭和31)年にラジオ東京(現TBS)に音響効果マンとして入社。社員ながら、テレビドラマ「鞍馬天狗」で作曲家デビュー。

冬木透”というペンネームについて、ご本人は「“鞍馬天狗“の時に考えました。あの頃は、演出や監督であっても社員は名前を出せなかったので、いきつけのバーで友人と一杯やりながら考えました。“冬木”は好きだった「柊」を分解して、“透”は冬の満州の凍った木をイメージしてつけました。バーのママがたまたま姓名判断をやっていて、「これはいい名前よ」と言ってくれて(笑)」と語っています。

 


 

ウルトラシリーズとの出会い

 

1961(昭和36)年にラジオ東京を退社後、仕事仲間である円谷一氏の誘いで1967(昭和42)年、「ウルトラセブン」の楽曲を手がけます。円谷一(つぶらやはじめ)さんは創業者「特撮の神様」円谷英二さんの息子さんで円谷プロダクション二代目社長です。

 

冬木透さんはこの時について、
「セブンの時の円谷さんの要求は『宇宙の広がりというのは、テレビのフレームでは表現できないから、音楽で表現してほしい』というものでした。彼は音楽をよく分かっていて、こちらに制約を作らずイメージのみを伝えてくれました。人の使い方としては最高ですよね。だから私は良い仕事ができたのだと思います。ウルトラセブンの歌は、円谷さんが“東 京一”の名前で詞を書いています。渡された原稿は、歌詞がすこし短かったので、『倍くらいほしいな』と言ったら、『忙しくて考える時間がないから、適当にやっておいて』と言われました。だから、何回も『セブン・セブン・セブン』って言っているでしょ(笑)」と語っています。

 


 

冬木透さん ウルトラシリーズ楽曲紹介

 

●ウルトラセブン(1967年)

 

「ウルトラセブンの歌」OP HQ Ver.


▲言われてみれば確かに歌詞が足りない(笑)ちなみに唄っている男性合唱隊の1人、3番目の「セブン」は尾崎紀世彦さんです。

 

「ウルトラ警備隊の歌」歌詞ありVer.


▲「サンダーバード」に影響を受けたウルトラホークの発進シークエンスでお馴染み。

 

「ULTRASEVEN」


▲超カンタンな単語のみとはいえ、全編英語詞という当時としては画期的です。これで英語曲を初めて覚えた子どもは多かったことでしょう。

 

▼最終回ではダンのアンヌへの衝撃の告白シーンでシューマンのピアノ協奏曲イ短調を用い、ドラマティックな演出が伝説に。

 

「ウルトラセブン」の音楽は作品と共にウルトラシリーズ中でも高い人気を誇り、2018年には放送開始50周年記念として、なんと283曲(!)を収録した究極の5枚組「ウルトラセブン サウンドライブラリー」がリリースされています。

 


 

●帰ってきたウルトラマン(1971年)

この「新マン」からは主題歌と劇伴が分業体制となり、主題歌はすぎやまこういちさんが担当されています。

 

「M-3」通称ワンダバ


▲でました、これがワンダバの元祖です。MATの出撃、攻撃シーンに多用されたM-3、通称「ワンダバ」。

 

「M-13」

ウルトラマン戦闘曲のこの曲は、冬木透さんが作曲したものの採用されなかった主題歌候補楽曲のメロディだったのだそうです。

 


 

●ウルトラマンA(1972年)

 

「TACの歌」

▲「牧の緑が左右に分かれ~」名曲です。

 

「TACの歌」ワンダバ ver.


▲冬木透さんが「帰ってきたウルトラマン」の防衛隊MATのBGMで発明した「ワンダバ」は大人気となり、続く「ウルトラマンエース」のTACでも採用されました。

 

「TACのワンダバ一週間」


▲ついにはこんな歌まで。コミカルな歌詞で面白いです。

 


 

ワンダバ誕生秘話

 

冬木透さんは、ワンダバ誕生について「『ULTRA SEVEN』のワン・ツー・スリー・フォーがカッコいいと評判だったそうで監督からまたやってよ、と言われて…どうしようかと悩んだ末、窮余の一策で「ワン」だけを活かし「ワンダバダバ~」とやったのです」と語っています。

 

これ以降、円谷作品の防衛チームには男性コーラス付きのテーマ曲がマストアイテムとなり、

・ミラーマン(1971年):「シャバダバダ」(作曲:冬木透)
・ウルトラマンタロウ(1973年):「ダーダバ」(作曲:日暮雅信)
・ジャンボーグA(1973年):「ズビズバ」(作曲:菊池俊輔)

など、各種亜流のテーマ曲が作られ「特撮やアニメなどで地球防衛軍が出撃する際のBGM」=「ワンダバ」が定着。

オマージュあるいはパロディとして「ワンダバ」BGMが作られるようになり、その伝統はいまなお、続いています。

 


 

冬木透さんはそのほか、「ウルトラマンレオ」「ザ・ウルトラマン」「ウルトラマンメビウス」の劇伴BGMなども手がけられています。

「ウルトラシリーズは一作品につき、少なくとも50~60曲はつくります。ウルトラセブンは80曲位ありました。作曲をする際は、時間がもったいないのでピアノはほとんど使いません。もちろん、確認するために弾くことはありますが、基本的には頭の中で作曲します。知っていること、勉強してきたことをフル稼動させます。制作期間がいつもとても短いので、そうしないと間に合わないのです」

 

宇宙の広大なイメージ、幻想的でロマンティックな冬木透さんの楽曲は、円谷プロダクションのウルトラマンシリーズに高級感、上質感を与えました。背景に幼少期からのワーグナー、ベートーベンなどのクラシック体験と、宗教音楽家でもある冬木透さんのバックボーンがあったのですね。

 

「子ども向けにつくっている、と感じたことは一度もありません。実相寺さんを筆頭に、戦争に奪われた少年時代を取り戻そうとするかのように、ウルトラセブンに携わる誰もが真剣でした。ただ、敵と味方、正義と悪という風に簡単に割り切らず、すべての存在に多様な好奇心を持つことができる柔らかい思考の種を、言葉より先に子どもたちの感性に植えつけたいという思いだけは共有していたはずです。セブンがこれからも、平和を願う人々の「祈り」の結晶で在り続けてくれたら、と思います」

Ultraseven Theme Song~orchestral version

 

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