「1970年代の石立鉄男」 〜ホーム コメディドラマ 稀代の名優が光るオススメ作品

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一部で「芸能界最強」ともウワサされる破天荒な昭和の名優、石立鉄男(いしだててつお)さん。

今回はリクエストにお応えして石立さん&1970年代の主演ドラマシリーズの魅力について、おススメ作品と共にご紹介します!


 

石立鉄男さん。

人によっては
「エースコック わかめラーメンの人」
「大映テレビドラマの怖い人」
「噂の刑事トミーとマツのエライ人」
などの印象かもですが、

70年代、テレビ ホーム コメディドラマの主役を数々こなした、トップスターでした。

 

コミカルで人情味のある、憎めない2.5枚目。アフロヘアーと細い目、個性的な甲高い声、軽妙なセリフ回し。

この方のドラマはとにかく、どれをとっても面白いのです。

子どもの頃、よく夕方の再放送で観てはいたのですが、
小林旭さん主演映画観たさで加入した「チャンネルNECO」で改めて観て、
石立ドラマの深過ぎる魅力に、すっかりハマってしまいました。

 


 

●「おくさまは18歳」1970 TBS

石立鉄男さんの出世作は1970年放送の「おくさまは18歳」。

ヒロインの岡崎友紀さんはこのドラマで大ブレイク。一躍、国民的アイドルになりました。

高校教師と女子高生の秘密の結婚生活を描いたラブコメディ。
どう見ても二枚目ではない石立さんは、生徒からモテモテの教師役。
そして同僚のモテない教師役が、なんと若き日の寺尾 聰さんです。

うつみ宮土理さんや石立ドラマ常連の冨士眞奈美さんらのサブキャスト勢もツワモノ揃いでした。

 


 

その後、日本テレビで ユニオン映画&石立鉄男ドラマシリーズ として、

 

●おひかえあそばせ
(1971年4月7日~1971年9月22日、全13話)

●気になる嫁さん
(1971年10月6日~1972年9月20日、全40話)

●パパと呼ばないで
(1972年10月4日~1973年9月19日、全40話)

●雑居時代
(1973年10月3日~1974年3月27日、全26話)

●水もれ甲介
(1974年10月13日~1975年3月30日、全25話)

●おふくろさん
(1975年4月6日~1975年9月28日、全21話)
※この作品のみ日本テレビ製作

●気まぐれ天使
(1976年10月6日~1977年10月19日、全43話)

●気まぐれ本格派
(1977年10月26日~1978年9月20日、全38話)

 

主に水曜20時台で放送されたシリーズが、8年近くも続きました。

 


 

●「気になる嫁さん」1971 日本テレビ

亡くなった弟の婚約者に心を寄せる兄の役。

 

ヒロインの榊原るみさんは「帰ってきたウルトラマン」にレギュラー出演していましたが、
本作の出演で多忙になり、ナックル星人に惨殺されるカタチで降板。
これは当時の子供たちには衝撃的すぎる展開でした。

 

脇を固めるのは佐野周二さん、水野久美さん、浦辺粂子さん、山田吾一さん、
冨士眞奈美さん、山本紀彦さんなど、実力派揃いの名作ドラマでした。


 

●「パパと呼ばないで」1972 日本テレビ

杉田かおるさんの出世作として有名過ぎる本作は、
亡くなった姉の子を引き取り育てる独身男が巻き起こす、ホームコメディ。

 

実は放送当時の平均視聴率は11パーセント前後とイマイチだったそうなのですが、
再放送が繰り返されて人気が出て、10年くらい経過した後に「チー坊!」というあの有名なモノマネが流行した、
という逸話が残っています。

 


 

●「雑居時代」1973 日本テレビ

1971「おひかえあそばせ」のセルフリメイク作品。

女ばかりの家庭に、石立さん演じるガサツな売れないカメラマンが同居する、というシチュエーションでした。

 

温厚だけど厳格な大坂志郎さん演じる父親の5姉妹は、
春子 冨士眞奈美さん
夏子 大原麗子さん
秋枝 川口晶さん
冬子 山口いづみさん
そして末っ子の阿万里 杉田かおるさん。

この末子だけが実は異父姉妹であることが明らかになる後半は衝撃。

数ある石立ドラマの中でもファンの多い作品です。

 


 

●「水もれ甲介」 1974 日本テレビ

水道工事屋さんが舞台のホームコメディ。

石立さんが兄、弟に原田大二郎さん、妹に村地弘美さん。
母親役は赤木春恵さん、初回に亡くなる父親がなんと森繁久彌さんです。

そして森繁さん演じる父親は
「兄弟2人は自分の実子ではなく、出征したときの命の恩人である上官の子で、赤木春恵さんは実は継母」
ということを甲介にだけ打ち明けて亡くなる、という衝撃の幕開けでした。


 

●「気まぐれ天使」 1976

石立さんは女性下着メーカーに勤めながら童話作家を目指す主人公(この設定からしてすごい)で、
ヒロインには婚約者役の大原麗子さん、後半は上司役で酒井和歌子さんが登場します。

(大原麗子さんの唐突過ぎる途中降板は謎でしたが、
お亡くなりになった時にギランバレー症候群の発症時期を知り、もしかしたら…と思いました)

 

そこに絡む公爵家の謎の老女が悠木千帆(樹木希林)さん、孫娘が坪田直子さん。

リアルとファンタジーが絡み合ったなんとも不思議な作品のため賛否両論あったようですが、私にはすごく面白かったです。

 


 

●石立鉄男さんの魅力

 

何作か立て続けに観ていて気がついたのですが、石立さんの役回りは「現代版(当時のですが)寅さん」なんですね。

 

お節介でめんどくさい性格。困ってる人をほっとけないけど口が悪くて短気で損ばかりしていて、
誤解を招いて揉めに揉めるけど、最後は誤解が晴れて「意外といいとこあるじゃない」とヒロインが惹かれだす、
といったような存在です。

 

石立鉄男さんと渥美清さんの関係性はよくわかりませんが(石立さんは渥美さんを尊敬していた、という説も)、
口調や表情、間の取り方や台詞回しもよく似ているように思います。

ふざけて面白がらせよう、ではなくてそこはかとなく面白い、
そしてなんとなく物哀しさもある、関東の喜劇人の「間」というか…。

 

そして寅さんこと渥美清さんが尊敬してやまない関東喜劇人の頂点が森繁さんでしたので、「水もれ甲介」での共演は感激しました。

 

そして見た目にもクセの強いアフロヘアで、言葉使いも乱暴で振る舞いも粗暴、
ルックスだって二枚目ではないのに、ニッコリ笑うと憎めなくなってしまう、
カッコよさを感じる不思議な魅力。

 

後にダウンタウンの浜ちゃんがドラマで主演するようになった時に、
「浜ちゃんは現代版の石立鉄男さんだ」と感じました。
浜ちゃんは関西人ですが、魅力がまさにあの感じなのです。

 

そしてもう一つ、石立ドラマの魅力は、共演するヒロインがものすごく魅力的に見える点です。

 

岡崎友紀さん、杉田かおるさん、榊原るみさん、大原麗子さん、
酒井和歌子さん、村地弘美さん、坪田直子さんなどなど…

 

いずれのヒロインも(他の作品の時よりも)ものすごく魅力的に見えるのです。

石立鉄男さんには共演者の女優の魅力を際立たせる、不思議な力があったように感じます。

 


 

●松木ひろしさん と 大野雄二さん

 

もちろん、メイン脚本家をつとめた松木ひろしさんをはじめとする当時のドラマ作家さん、
スタッフさんたちのチカラも大きいでしょう。

 

単なるコメディだと思って気楽に見ていたら異父兄妹だったり異母姉妹だったり、
度肝を抜かれる「隠し味」が潜んでいて、物語の途中で大どんでん返しを食らうものの、
ビックリだけで終わらず、1年間の長丁場をダレることもなく、
きちんとコメディに戻して終わる展開は、昭和のホームドラマ恐るべし、と感じました。

 

そして、これら作品のテーマ曲、劇伴音楽の多くを手がけたのは、
後に「ルパン3世」などで大ブレイクする、あの大野雄二さんなのです。

「一連の“石立ドラマ”では、ルパンのコミカルな感じや人情的な部分、
”火曜日の女”シリーズではサスペンス的な表現など、 本当に良い勉強をさせてもらったと思ってるよ。
アクション的な音楽は、最初からジャズが好きだったから比較的自分でも書きやすかったけど、
そこにドラマで学んだ心理的な面を表現する音楽が加わって、自分の中でのバランスがよくなったよね。」
(大野雄二さんのコメント)

 

 

 


 

そんな石立鉄男さんも年齢と共に主演から
「噂の刑事トミーとマツ」(1979)「スチュワーデス物語」(1983)
「少女に何が起こったか」(1985)などの大映テレビドラマで個性的な脇役を務めた後は
バイプレーヤーに徹し、2007年に64歳の若さで亡くなりました。

 

「全盛期には5億から10億ぐらい稼いで、全部使い切った」と語る賭博好きで、
時間にルーズで無頼派で、破天荒なエピソードも数多くあります。

 

晩年は熱海で雀荘を経営しながら隠遁生活を送ったとか。

おそらくは時代の趨勢に乗りまくってそれが過ぎて、
平成の無菌室のようなテレビ界には居場所がなくなったような印象があります。

 

CS放送やネットチャンネルで、もし今回ご紹介したドラマを観ることができたら、
騙されたと思って一度観てみてください。

 

昭和の街の風景と併せて、懐かしくて新鮮な、素晴らしい「物語」を堪能できると思います。

 

コメント

  1. 1958年生まれのおじさん より:

    石立ドラマは、4時から5時の再放送枠で青春アワーや刑事モノと一緒によくオンエアされていて、楽しみに観ていました。当時は「近所の優しいお兄さん」という印象で、巷間伝えられている武勇伝や破天荒なイメージは全くなかったですね。画面に彼の顔が映ると、何かホッとする不思議な魅力がありました。遅刻の常習犯だったのは、睡眠薬を常用していたのが原因みたいで、真逆のキャラを演じる葛藤や主役のプレッシャーから逃れるためだったのかも知れませんね。貴殿が触れていた渥美清さん同様、フィクションの世界と実生活とが真反対の方のようで、逆にそれだからあんなにも魅力的な演技が出来たんでしょうね。ただ、時折画面で見せる、片頬を歪める淋しげで、それでいて慈愛に満ちた彼の表情が大好きで、それに石立さんの本質を垣間見る思いがします。だからこそ多くの女優さんたちに慕われたのでしょう。杉田かおるさんとのエピソードもいいですしね。いずれにしても貴殿の言われるように、今後不世出の稀代の名役者さんですね(俳優ではなく、役者という言葉が似合う最後の人かも知れないです)。

    • MIYA TERU より:

      いつもありがとうございます。かつて平日の夕方は再放送アワーで、私はそこで往年の名作をたくさん知りました。TV局はコロナ対策で総集編ばかりやってないで、昔の傑作ドラマの再放送してくれ、と思いますよね。中でも石立ドラマは、おそらく世代を超えていま見ても面白い、傑作揃いですよね。これを知らないのは、日本人としてもったいないと思います。

      • 1958年生まれのおじさん より:

        いつもお返事ありがとうございます。石立ドラマの再放送はいいアイデアですね!日本人として勿体無い_本当にそう思います。石立ドラマは主題歌もいいですしね。まさに昭和テイストですが(笑)&アフロと言えば、当時の鶴瓶さんや鈴木ヒロミツさんも似合っていましたが、どうしても三枚目のイメージで、アフロで、黒人以外で、それで二枚目というのは、石立さんとミッシェル・ポルナレフぐらいでしょうね(いつも例えが古くて恐縮です)。石立さんの場合、それが無頼感を醸し出していましたが。後、遅くなりましたが、リニューアルおめでとうございます。今後も楽しみに拝見させて頂きますので、お身体に気を付けて頑張って下さい!

        • MIYA TERU より:

          こちらこそありがとうございます。ミッシュエル・ポルナレフ、なるほどです(笑)
          少しでも記事が探しやすく、読みやすくなればとの思いでリニューアルしました。楽しんでいただければ何よりです!

  2. 鈴木良子 より:

    なんか、物悲しいですね。祭りの後のような、桐一葉落ちて…みたいな、自分も人生の後半になり、彼と比べるべきものなど何もないのに、こんなに身に迫って親近感を覚えるのは何故なんだろう…

    • MIYA TERU より:

      コメント、ありがとうございます。そうなんですよね・・・ご本人のキャラを尊重して敢えてセンチメンタルには書かないようにしたのですが、どうしても伝わってしまいますね。。。渥美さんしかり、喜劇を演じる人って、”そこはかとなくもの哀しいペーソス”が魅力だと思います。誰とは言いませんが最近の「オレって面白いでしょ」的な役者は、コメディ演じていてもちっとも笑えません。

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