「水原勇気」と「野球狂の詩」〜1972-1977 女性プロ野球投手の衝撃


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今回は「女性プロ野球投手」水原勇気で知られる、水島新司さんの野球マンガ&アニメ「野球狂の詩」をご紹介します!

 

●原作「野球狂の詩」

 

1972(昭和47)年から1977(昭和52)年に「週刊少年マガジン」に掲載された、水島新司さんの野球漫画です。

当初は、50歳を超えて現役投手の“よれよれ18番“岩田鉄五郎をはじめとする「東京メッツ」(セリーグ所属)のナインを主人公とした、一話完結型の“不定期連載“漫画でした。連載開始から4年後の1975年、女性投手・水原勇気が登場する「水原勇気編」がスタート。そのタイミングで定期連載となり、それまでランダムだった設定や時系列も統一されました。

 


 

●アニメ化

 

1977(昭和52)年、フジテレビ系列でアニメ作品としては異例の1時間番組として放送スタート。

アニメも当初の原作同様、“不定期放送“なのも異例でした。

 

金曜夜8時からの「金曜ファミリーアワー」スペシャル番組の第1話から、第2話までの間隔は約5ヶ月。その後の第2~6話までは月1放送で、第6話と第7話には約2ヶ月の間隔があるなど、当時「いつ放送されるのかわからない、変なアニメ番組」「クオリティの高い、大人向けの特別なアニメ番組」という印象でした。

 

そして第7話から、毎週月曜夜8時からのレギュラー放送となりました。

 


 

●水原勇気誕生と野村克也さん

 

アニメ版は第1話から第11話までが「水原勇気編」。第12話以降は勇気以外のキャラクター編となり、原作とは逆転しました。

そのため、世間的には「野球狂の詩=水原勇気」という印象です。

 

原作者の水島新司さん曰く「前々から女性プロ野球選手を描くことを考えていて、知り合いのプロ野球選手たちにアイデアを打ち明けてみたところ、反応はことごとく否定的で嘲笑の声すらあった。その中でただひとり野村克也さんだけが「その投手にしかないボールがあれば、ワンポイントとしてなら通用するかもしれない」と語り、これがドリームボール誕生のきっかけになった」と語っています。(ノムさんご本人は実写映画にも実名でしかも三振取られる役で出演しています)

 


 

●水原勇気編

 

定期連載のタイミングから登場した水原勇気は「もしも、プロ野球に女性投手が誕生するとしたら」がテーマです。

 

当時のプロ野球規約には「男性であること」が条件であり、それを打ち破るにはどういう流れなら可能か、さらに女性がプロ野球投手として通用するにはどうすればいいのか?が、丹念に描かれています。

 

左利きのアンダースロー、そしてノムさんのアドバイスから生まれた「ドリームボール」。野球漫画にありがちないわゆる“魔球“ですが、本作ではその魔球を決して多用せず、「実は存在しないのではないか?」と思わせる陽動作戦など、リアリティが絶妙でした。

 

 

また、水原勇気に新魔球開発を課した武藤が広島カープにトレードされ、以降はそのドリームボールを打つことに憑りつかれ、選手生命を賭けるエピソードは胸熱でした。

 


 

●実写映画化

 

水原勇気は大人気キャラとなり、アニメ化と同じ1977(昭52)年には木之内みどりさん主演の実写映画が公開されました(岩田鉄五郎役は小池朝雄さんです)。

 

後に1985年にフジテレビ系列の「月曜ドラマランド」で、斉藤由貴主演によるドラマにもなりましたが、細身の水原勇気は木内みどりさんがハマり役でした(ちなみに木内みどりさんはベーシストでアレンジャー後藤次利さんの最初の奥さんで、後に竹中直人さん夫人となりました)。

 

女性プロ野球選手=水原勇気の印象は強く残り、女性が野球で活躍すると今だに名前が挙げられます。

1992年には作中での彼女の活躍をデータで検証した「水原勇気1勝3敗12S」(豊福きこう著/講談社文庫)という書籍が発売され、話題になりました。

 


 

●水原勇気編以外のエピソード

 

「よれよれ18番」「あて馬」「ジンクス」など水原勇気登場前のエピソードも傑作揃いですが、初期は前後のつながりや設定もまちまちで、あくまでも「一話完結の列伝エピソード集」として描かれていました。

 

月次連載期からは歌舞伎の女形のプロ野球選手「スラッガー藤娘」、少女漫画の第一人者、里中満智子さんとの合作「ウォッス10番」「ガッツ10番」「スラッガー10番」の3部作火浦健が主役の「北の狼・南の虎」、「任侠三重殺」なども名作です。

TVアニメは水原勇気編が第11話で終了し、第12話からは岩田鉄五郎が主役の「よれよれ18番」を皮切りに、勇気入団以前の各キャラクター編が描かれ、全25話が放送されました。

 

捨てられた双子が運命の糸に操られプロ野球の舞台で対決する「北の狼・南の虎」は1979年にアニメ映画化(TV版の第13~14話を再編集したブローアップ版)も公開されました。

 


 

●主題歌

 

アニメ「野球狂の詩」主題歌は複数パターンありますが、水原勇気編の主題歌とエンディングをご紹介。堀江美都子さんによるスキャットのみ、歌詞なしのオープニングは渡辺宙明さんの名曲です。

 

OP 「野球狂の詩」
作曲:渡辺宙明
唄:堀江美都子、コロムビア男性合唱団

ED「勇気のテーマ」
作詞:水島新司/作編曲:渡辺宙明
唄:堀江美都子

 

次回は、水島新司さんの野球漫画の金字塔、「ドカベン」をご紹介します。


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