12インチ シングル レコード〜80年代のリミックス ブーム

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80年代、「12インチシングル」というものが流行りました。

どんなラインナップがあったのか知らべてみたのですが、洋楽に比べると邦楽についてはなかなか情報がまとまっておらず、取り上げた事を後悔しました…(笑)

なんとか情報と記憶をかき集めて、まとめてみます。

 


 

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◆「12インチシングル」とは?

 

CD〜世代の方はそもそも、レコードすら見たこともないでしょう。ざっくり説明すると、

まず、レコードは

・大型サイズ(直径30センチ)のLPレコード

・小型サイズ(直径17センチ)のシングル盤(EPレコード)

に大別されます。

LPレコードはA/B面に各4〜6曲、計10曲程度収録した「アルバム」向け。

シングル盤はその名の通りA/B面に各1曲ずつ収録した「シングル」向けです。

余談ですが、アルバムは33回転、シングルは45回転、と回転数が違い、いちいちレコードプレーヤーのスイッチを切り替えて聴く必要がありました。

そして、今回ご紹介する「12インチシングル」は、

LPレコードのサイズ(直系が12インチ=約30センチ)に、片面1曲を収録し、45回転で再生する

規格です。

ややこしい。

要は「アルバムサイズの、でっかいシングル盤」ということです。

当然、「1曲の収録分数が長くできる」ということと、アナログレコードの仕組み的に「音質が良くなる」というメリットもありました。

 


 

◆ルーツはジャマイカ?

 

Wikiを検索すると、どうやらこの規格はレゲエ ミュージックのジャマイカがルーツのようです。その後、アメリカで1970年代初旬から存在していた模様です。

 


 

◆80年代、海外の12インチブーム

 

80年代、洋楽で「ロング バージョン」「エクステンデッド バージョン」などと称した、アレンジシングルが続々と発売され、12インチ シングル ブームが起こります。

ディスコやパーティーなどでDJが行う「リミックス(remix)」を施したもの、という意味合いです。「リミックス」というワードも、この頃にメジャーになりました。

いくつか、洋楽の代表的なものを挙げると…

・Thompson Twins「Hold Me Now」「Doctor! Doctor!」
・a-ha「Take On Me」
・David Lee Roth「California Girls」
・Howard Jones「New Song」
・Sheila E.「The Glamorous Life」
・Yes「Owner Of A Lonely Heart」
・Madonna「Like a Virgin」「Material Girl」
・Frankie Goes To Hollywood 「Relax」
・Duran Duran「The Reflex」
・The Power Station「Some Like It Hot」

などなど…まだまだありますが。どれもこれも懐かしいですね…。

中でも、私が特に印象深い12インチは、コレです!


 

◆日本における「12インチ」

 

調べてビックリ。

なんと、日本で初めてこの規格を採用したのは「親父の一番長い日」さだまさしさん でした!(1979年10月12日発売)

もちろん「ダンスバージョン」…なワケはなく、12分30秒もある長い楽曲を収録するための策。

当時、日本では前例のない形態だったため、ラジオ番組や有線放送等で流す際に回転数を間違える(LPと間違えて33回転で再生される)放送事故がしばしば発生したそうです。そりゃそうだ。

※洋楽扱いですがピンクレディーの全米デビュー曲「PINK LADY / KISSIN THE DARK」(1979年)も、12インチ シングルでした。

 


 

◆80年代の邦楽12インチブーム

 

12インチはこのように、「単に長い尺のシングル」という用途もありますが、醍醐味は「スペシャルアレンジ」「リミックス バージョン」「ダンス バージョン」です。

 

その意味での先駆者は、やはり佐野元春さん。

1984年6月、アルバム「VISITORS」のリリースに合わせて「トゥナイト」「コンプリケーション シェイクダウン/ワイルド オン ザ ストリート(Special Extended Club Mix)」などを、12インチ(MAXI) シングルとして次々とリリースします。

これに触発された吉川晃司さんが1984年12月に「MAIN DISH -PARTY VERSION-」12インチ シングルを限定リリース。

セカンドアルバム収録曲の「No,No,Circulation」(大沢誉志幸氏作曲)の超ロングバージョンをメインに、B面にデビューシングル「モニカ」、セカンドシングル「サヨナラは八月のララバイ」2曲のリミックス バージョンを収録して、大ヒットしました。

「No,No.Circulation」は「4人目のYMO」松武秀樹さんによるオーケストラヒット&サンプリング シーケンサーが印象的な強烈なパワーチューンで、「モニカ」はDuran2の「The Reflex」を意識したサンプリング リミックス。

このヒットが業界の話題となり、邦楽ロック、アイドル界に12インチ シングル ブームが起こります。

 


 

◆アイドル・歌謡界の12インチシングル

 

・少女隊「Forever」
・小泉今日子「ヤマトナデシコ七変化」「ハートブレイカー」(KYON2 名義)
・C-C-B「Lucky Chanceをもう一度」

「元気なブロークンハート」
・中森明菜「赤い鳥逃げた」(レコ大受賞曲「ミ・アモーレ」の別歌詞、ラテン リミックス バージョン)

・チェッカーズ「heart of rainbow/ブルーパシフィック」
・中山美穂「WAKU WAKUさせて」

・松田聖子「Dancing Shoes」(全米デビュー曲)

・斉藤由貴「土曜日のタマネギ」

「AXIA〜かなしいことり」

・薬師丸ひろ子「天に星、地に花.」
・松本伊代「月下美人」
・アン ルイス「六本木心中」

「あゝ無情」
・小林麻美「雨音はショパンの調べ」
・池田聡「モノクローム ヴィーナス」

・吉川晃司「Can’t you hear the Rain-Dance」
「Nervous Venus」

などなど・・・


 

◆ロック界の12インチ

・爆風スランプ「無理だ」
・BOØWY「BAD FEELING/NO NEWYORK」
・山下久美子「FLIP FLOP & FLY」
・REBECCA「MOTOR DRIVE」
・大沢誉志幸「そして僕は途方に暮れる」
・尾崎豊「卒業/SCRAMBLING ROCK’N’ROLL」
・TMネットワーク「DRAGON THE FESTIVAL」

「YOUR SONG」
・the東南西北 「ため息のマイナーコード」
・久保田利伸「TIMEシャワーに射たれて」

・NOBODY「モノクロームの夏」

などなど・・・。

 


 

●12インチ シングル ブームの終焉

 

この「12インチシングル」は、前述の通り「単なるデカイサイズのシングル」のものから、趣向を凝らしたリミックス、ロングバージョン化されたもの、に分かれます。

そして、リミックス、アレンジも出来、不出来が顕著で、オリジナルを超える「12インチならでは!」なクオリティのものはごく僅かでした。

単にイントロや間奏が長いだけのつまらないアレンジや、ライブテイクを収録したもの、さらにはこれなら原曲の方がいいや、という台無しアレンジものまで、まさに玉石混交でした。

 

やがて85年頃にはCDが主流となり、当然この「12インチ シングル」という規格自体が不要になりました。

が…それ以前に「なんのために12インチにしたの?」という低クオリティのリリースが多かった事も、洋楽に比べ邦楽の「12インチ シングル」が評価されていない理由な気がしてなりません。

 

洋楽の12インチはコレクションCDが多数、発売されていて、いまもAmazonなどで検索するとたくさん出てきます。

しかし、邦楽の12インチシングルは、CD化しているものはごくわずかで、「12インチシングルバージョン」として明記されていなかったり、と非常にわかりにくくなってしまっています。

そんなこんなで、もはや記憶の片隅においやられてしまった12インチシングル。

1980年代、元気だった歌謡曲、邦楽ロック界のエポックメーキングな出来事、として、もう少し再評価されても良い気がしてなりません。

 

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